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機関誌「地球のこども」

村には祭りが必要だ

山村にしかないものは何か

地方の山村へ行くと、「ここには何もない」という言葉を地元の人から聞くことがあります。本当にそうでしょうか? 都会と比べてないものを挙げればきりがありません。だけど逆に言えば、都会にないものが沢山あるのが山村です。様々な動物、植物を育む山や川、清流の数々、針葉樹、広葉樹の樹木の多様性。私たちの生活を支える田んぼと畑。

また、燃料革命以前、山村の自然資源は国の経済を支える基盤でもありました。現在のように海外から生活必需品を輸入するようになってから、山村の重要性も人々の意識から遠ざって行きました。しかし、今や都会に存在しない有形無形の魅力をとどめる山村の価値こそ、希少なのではないでしょうか?

山村の最重要課題とは

さて、みなさんは山村で最も緊急な課題は何だと思いますか? それは、人口問題です。現在、特に若年層が少ないということは今後抜本的な対策がなければ、さらに少なくなることを示唆しています。自分は2013年に、地域おこし協力隊として山梨県道志村(※)へ移住してから、小さな村でも、地域を維持していくためには、どんなに人の力が必要なのかを痛感してきました。

※山梨県道志村
東京、横浜から車で2時間。富士山の裾野にある山中湖と相模原市の中間地点にある小さな村。人口1,800人。面積の94%を森林が占める山に囲まれた山村。この山々は横浜市へ飲料水を供給する「緑のダム」として機能している。

産業、文化、暮らしに関連するサービス、消防団活動や選挙など、多くの人の力が必要となります。そして、年長者の方々が蓄積してきた経験や知識は、文字などの媒体で記録されているものではないため、途絶えてしまえば復活は困難となります。

祭りが地域にもたらす可能性

こうした状況を象徴的に表すのは祭りです。祭りの実施に必要な会場作りから、神楽の演舞方法、お囃子まで基本的には文字として残されているものはほとんどありません。これらの様式は、年長者から若者へ言葉や身振りで継承されていきます。

祭りは歴史的に地域のハレの日として、血縁や上下関係など様々なしがらみを一時的に公に解放する、非日常的な機能を果たしてきました。若者にとって日頃の鬱屈したエネルギーを放出し、さらに表舞台に立てる貴重な機会です。ところが、道志村も若年層人口が減少し、祭りの維持が困難になっています。

3・11で被災した岩手県大槌町へ、ボランティアとして通っていた時、復興が早い地域で地元の方が話していた言葉が忘れられません。

うちは、毎年祭りを大切にしてきたから、被災した後もすぐにみんなで対応ができた」と。

つまり、祭りは単なる娯楽のみならず、地域の生命力や緊急時の対応力を測るバロメーターでもあります。

今年で11周年を迎えた「Natural High!」道志村の全人口に匹敵する若者が一堂に会すイベントです。ここに、地域とフェスの関係の新たな役割、可能性が見出せるのではないか。年に1度でも若い人達が集まるのであれば、村の将来に貢献できる可能性は十分あると思います。

山梨県道志村で行われた「Natural Hight!」トークセッション風景

山梨県道志村で行われた「Natural Hight!」トークセッション風景

プロセスの共有で絆が生まれる

それでは、自分はどのようなフェスを思い描くのか。それはどんな空間なのか。キーワードを幾つか並べます。

  • フェスを作り上げるまで、年間を通じた協働作業がある
  • 都市部からの参加者だけでなく地元の参加者も共に楽しめる
  • 老人から子供まで、自由な居場所が存在する
  • 地域の伝統文化を尊重し、学ぶ機会がある

重要なことは、祭り(フェス)の存在を「自分事化(じぶんごとか)」できるかどうかであり、それだけの魅力や楽しさがあるかが鍵と思っています。都市でも山村でも、日々、仕事や生活に忙しいのは誰でも同じ。自分の貴重な時間を投じてでも、ハレの日に向かってエネルギーを集中していく。フェスの開催当日よりも、実はそこまでのプロセスを共有することで、絆が生まれます。

村では、無機質な会議室で重要なことを話し合うのではありません。草刈りをする、食事をつくる、掃除をするなど、日々の協働作業の途中や、ひと休みのふとした時間に、貴重な意見がきけたり、重要な事柄がさくっと一瞬で決まるということがよくあります。

山村に住む人と都市生活者が一緒になってフェスを作り上げ参加する。そういったことが当たり前になれば、そのフェスはもはや文化になり得るのではないか。そんなことを想像しています。みなさんはどう思われますか?

大野 航輔(おおの こうすけ)

道志村地域おこし協力隊OB。株式会社リトル・トリー代表取締役。1978年、横浜市出身。木質バイオマスエネルギー利活用に関するコンサルティング会社を経て、道志村地域おこし協力隊へ転職。協力隊任期終了を期に、「株式会社リトル・トリー」を設立。

2016年9、10月号

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