世界(開発途上地域)の食・農事情 第3回 砂漠・乾燥地帯に特有の 食・農文化 スーダン共和国
- 2019/01/04
- カテゴリー:国際事業コラム

文:佐藤 秀樹 (国際事業部チーフコンサルタント) 写真:独特の景色を誇るタカ山(カッサラ州)
今回は、筆者がJICAのチーム派遣専門家として関わったスーダン共和国の食・農事情について紹介します。
スーダン共和国
日本の面積の約5倍であるスーダン共和国は、砂漠や乾燥地帯が国土の大半を占め、人口が約4000万人、アラブ系を主とした200以上の部族が混在しています。首都はハルツームで、公用語はアラビア語、宗教はイスラム教や伝統宗教等を信仰しています。
2011年に南スーダンが分離独立する前は、アフリカ大陸最大の国土を有していました(現在は、アルジェリア、コンゴ民主共和国に次いで第3位)。
肥沃な大地と砂漠地帯
スーダン共和国の東部ではナイル川周辺の肥沃な土地と大規模灌漑を利用した、小麦やトウモロコシの栽培が盛んです。また、鮮やかな赤いハイビスカスの花を使ったお茶、甘くて干し柿のようななつめやし(デーツ)、そしてゴマ油の生産(ゴマの発祥地と言われている)が行われ、これらはお土産にもなっています。
また、砂漠地帯ではラクダの放牧が行われ、栄養価の高いミルクや荷物の運搬に重宝されています。さらに、カッサラ州のタカ山(写真右上)は、観光や新婚旅行先としても人気があるスポットです。

ラクダの行列

農作業に従事する青年
スーダンの食事スタイル
- 朝食:朝食はお茶、パンやクッキー等で簡単に済ませる。
- 昼食:14~15時頃、一日の中でのメインディッシュ。
- 夕食:21~22時頃、夕食もお昼の残りもの等で済ませる簡素な食事の場合が多い。
主な料理は、キュウリとヨーグルトを合わせたサラダ、オクラ・羊肉・タマネギや香辛料等で料理したオクラシチュー、レンズ豆のスープ(ショルベ・アッダス)、つぶした豆を揚げてピタパンにはさんだ中東のファラフェルサンド(ターマーヤ)、小麦でつくった丸いパンのキスラや子羊の肉を焼いたキャバブ等を食べます。食後には、伝統的な容器ジャバナにショウガ等のスパイスを入れて飲むアラビアンコーヒーやお茶を楽しみます。
不安定な社会経済
南スーダンの分離独立や国内の貧困の問題等により、不安定な社会経済の状況が続いています。
砂漠や半乾燥地に特有の地理気象条件や、国境を接するエジプト、エチオピアおよびリビア等との交流によって生まれた多様な食・農文化が、今後も後世へ引き継がれていってほしいものです。
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