機関誌「地球のこども」 Child of the earth

世界(開発途上地域)の食・農事情 第1回アンデス特有の恵みがもたらす多様な食材 2018.08.24

写真:キャベツ栽培

文:佐藤 秀樹 (国際事業部チーフコンサルタント)

今回から6回に亘り、「世界(開発途上地域)の食・農事情」を紹介します。
第1回目は、筆者が青年海外協力隊員やJICA開発調査の専門家として関わったエクアドルの食・農事情について紹介します。

エクアドル

エクアドルで一番高い山チンボラソ(標高6,268m)は、同国の雄大さを物語っています。

南米に位置し、スペイン語で「赤道」を意味するエクアドルは日本の九州と本州を合わせた広さ(25.6万㎢)で人口は1,542万人程、民族は欧米系・先住民混血で人口の72%を占めています。

2007年1月に就任したコレア大統領から現在に至るまで、「良き生活(Buen Vivir:ブエン・ビビール)」というスローガンの下、福祉・医療等、社会政策の充実や貧富の格差の解消等、社会的連帯を重視した経済政策を進めてきました。

アンデス山脈の中に切り開かれた標高2,800mにある首都キトや、イグアナ、ゾウガメおよびペンギン等で有名なガラパゴス諸島には、アメリカやヨーロッパ諸国から年間96万人の外国人観光客が訪れます。

同国は、コスタ(海岸)、シエラ(山岳)、オリエンテ(ジャングル)やガラパゴス(島嶼)という4つの地方に区分され、各地域に広がる自然、文化、人々の暮らしの多様性に魅了されます。

山岳地帯の作物たち

エクアドルの農作物と言えば、バナナやカカオを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。大規模な地主が労働者を雇用してモノカルチャー(単一)栽培を行い、国の重要な外貨獲得源となっています。

一方、シエラ地方では小規模な農家がジャガイモ、とうもろこし、豆類やキャベツ等の野菜を栽培して細々と暮らしているのも事実です。

アンデス特有の作物としては、肥沃度に乏しい高山地帯で栽培可能なキヌアやアマランサス等が挙げられます。これらはヒユ科に属するホウレンソウやビートと同科で、栄養価が高く、スープやパン、クッキー等、その用途も様々です。

キヌア栽培

昼食(メインディッシュ)

 

1日の食事の中でエクアドルは昼食がメインです。ジャガイモ、豆類や野菜がはいったスープを食べ、その後は肉、魚やバナナを揚げたもの、酢漬けした野菜のサラダやご飯の付いたメインディッシュ、そして、ナス科の木になるトマト(タマリロ)等の果実ジュースを楽しむというスタイルが一般的です。

 

木(気?)になるトマト

また、魚、エビを用いた魚介類のマリネ、セビッチェや食用のテンジクネズミを焼いたクイ料理も、代表的な料理です。

エクアドルは、アンデス特有の恵みがもたらす多様な食材の宝庫と言えるでしょう。

参考資料

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