利用者による環境保全のしくみづくり(北海道 大雪山国立公園)
- 2017/06/21
- カテゴリー:今年こそ、エコツアーに行こう! , 特集

文:荒井 一洋(NPO法人大雪山自然学校)
私は2000年に北海道東川町に移住し、翌年に大雪山自然学校を設立しました。「大雪山を愛する人たちといつまでもこの地域で遊び、暮らしたい」。そんな思いで大雪山自然学校を始めました。
東川町は日本一広い国立公園・大雪山国立公園(22.764ha)の入り口にあります。この地域は4つの異なる自然環境があり、それらは、田園環境、渓谷と柱状節理、アカエゾマツの森と湿原、高山帯です。
旭岳ロープウェイがあり山岳エリアへのアクセスがよく、地元ガイド、ツアーオペレーター、ホテル等の地元事業者が協働し、「より良い利用」(Wise Use)や「利用者による環境保全」を試行錯誤しながら実践しています。東川エコツーリズム推進協議会と東川町大雪山国立公園保護協会が設置され、利用と保全のバランスを強く意識しています。
その特徴は、大雪山国立公園での「利用者による環境保全」です。つまり利用者が公園管理の一部を担っています。そうすると管理することが減ります。例えば「ゴミを拾う」のではなく、そもそも「ゴミを落とさない」ようになります。
高山植物を踏む行為に対して「監視員が注意する」ではなく、「利用者が注意し合う」ようになります。こうした規範を生み出すために、入山口で「楽しい3分間レクチャー」を全員が聞き、適切な行動とは何かを共有します。人は管理され行動を制限されるのを嫌います。個人が無理なく節度ある行動をとってしまう雰囲気をどう生み出すかを工夫しています。
こうした仕組みが成り立つには、山岳ガイドや旭岳ロープウェイ、宿泊施設、そして町にある20軒以上の飲食店や役場職員など、様々な関係者が個々の役割を認識し、出来ることを「できるだけ」やっているからだと感じています。山だけではありません。地域全体です。これが規範を生み出します。この場で個別の活動紹介はできませんが、ぜひ東川町にいらしてください。そして、仲間に会ってください。たくさんの笑顔、楽しい会話で「地域主体ってこんな感じかな?」が掴めると思います。皆さまのお越しをお待ちしています。
2017年5、6月号
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