はちみつ収集や商品開発技術向上による成果が出はじめました!
- 2016/12/17
- カテゴリー:バングラデシュ国における事業, 事業レポート

写真:蜂蜜のろ過について学ぶ天然蜂蜜収集家族の女性
【事業名】バングラデシュ国スンダルバンスの沿岸流域保全を通じた零細蜂蜜収集人の生計向上プロジェクト
【実施期間】2016年2月3日~2017年2月2日
【実施地】バングラデシュ・クルナ管区 スンダルバンス
【資金提供】外務省(平成27年度日本NGO連携無償資金協力事業)
【協力団体】バングラデシュ環境開発協会(BEDS)
天然蜂蜜収集人協同組合の組織形成
本事業は、スンダルバンス(世界自然遺産)と対岸に位置する5つの農村(※1)で暮らす天然蜂蜜収集人50世帯(男性1名・女性1名/世帯、合計100名)を対象として実施しています。選抜された50世帯の天然蜂蜜収集人により、地域ではじめての「天然蜂蜜収集人協同組合」が結成され、2016年6月1日に政府によって公式に認可・登録されました。
協同組合の組織強化
協同組合のマネジメント(協同組合の意義、運営規則、組織手続き、資金の貯蓄・管理方法等)に関するノウハウや、運営に必要な識字能力および地域の生物多様性保全に関する内容を盛込んだ、研修ハンドブックやワークシートが開発されました。それらを活用した研修会が、政府森林局や村の関係者の参加の下、2月20日~3月8日の期間の中で開催されました。また、協同組合の月例会を定期的に開催し、事業の進捗状況確認や蜂蜜販売促進に向けた活発な議論が行われました。
適正な蜂蜜収集や商品開発の技能向上
専門家(※2)および組合員により、適正な蜂蜜収集や商品開発の技能向上のため、次の内容で研修や教材の草案が開発されました。
- 比較的コストのかからないローカル技術で適応可能な天然蜂蜜採取の器具(※3)の開発・改善
- 政府森林局の規則、蜂やトラ・蛇への対処方法
- ろ過、保存、梱包などの商品開発に関する技術情報の収集
2016年3月14日には、この草案について組合員50世帯の蜂蜜収集人と意見交換を行うためのワークショップを開催し、そこで出された意見を踏まえた研修教材が開発されました。蜂蜜採集の技能向上に関する研修会は、50名の男性を対象として3月17日~3月25日の日程で実施されました。
※3 蜂蜜の品質を保持し適正な蜂蜜の抽出が可能な攪拌機、森林火災を防ぐ燻煙器、蜂の巣を適切に取り除くためのナイフ、蜂蜜採取時の容器等

開発された燻煙器を使用して蜂を追い払う天然蜂蜜収集人
本研修で習得した技能は、政府によって定められている天然蜂蜜収集時期(4~5月)で実践され、器具の使い易さなどが確認されました。また、蜂蜜のろ過、保存、梱包等、商品開発に関する研修会は、50名の女性を対象として5月20日~5月28日の期間で開催されました。
今年度、収集された蜂蜜は地域市場(シャムナガール郡)やインドの蜂蜜製品の製造を行っている会社(Dabur India Ltd.)等へ販売されています。また、バングラデシュ政府の品質管理検査機関に申込みを行い、現在、蜂蜜の品質チェックを受けているところです。
対象50世帯の2015年における天然蜂蜜収集量は4,082kg、2016年は4,278kgと196kgの増加となり、5%の蜂蜜収集量の増加が達成されました。また、女性により、瓶やプラスチックで梱包した蜂蜜商品(3種類のマングローブの花別に各100gずつ梱包)、蜂蜜キャンドル等が開発されました。今後は、事業期間内で蜂蜜クッキー、蜂蜜キャンディー、蜂蜜ジュース、蜂蜜入り石鹸、蜂蜜入りのパベッシュ(米で作るデザートの一種)の開発を検討しているところです。

スンダルバンス地域の伝統文化であり、地域の自然と密接に関わっている天然蜂蜜収集が、蜂蜜ビジネスとして持続的に発展していけるよう、技能向上、付加価値のある蜂蜜商品の開発や市場開拓を地域の皆さんと一緒になって引き続き進めていきたいと思います。

天然蜂蜜収集技能向上研修

瓶詰された蜂蜜商品案
住民参加型の植林と環境教育の実施
蜂蜜収集人・小学校50校の教員・生徒や父兄等の地域住民が、スンダルバンスのマングローブ林・生物多様性保全について学習する環境教育により、植林と蜂蜜収集との関係等、地域の自然を守るための意識向上が図られました。
今後は、次の通り蜂蜜商品の開発とその販売へ向けた取組みをより一層加速化させていきます。
商品の開発と販売に向けた取り組み
- 同国政府による天然蜂蜜の成分分析結果の把握。
- 開発された蜂蜜収集の道具・器具や研修教材の
ブラッシュアップ。 - 蜂蜜の加工、保存、梱包の改善や蜂蜜商品の開発。
- 蜂蜜の試行品を販売するための青空市及び村人
から意見を収集する検討会開催。 - 小学校の教員、生徒と父兄を巻込んだマングローブ・果樹等の植林や環境教育活動の継続。
- 日本における事業報告会の開催。
文責:佐藤秀樹(国際事業部チーフコンサルタント)
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