「高校生」から「若武者」へ
- 2016/12/17
- カテゴリー:事業レポート, 日本の環境を守る 若武者育成塾

文:島津厚史(インターン)
【実施期間】8月3日(水)~8月6日(土)
【実施地】神奈川県三浦郡葉山町、南足柄市、小田原市など
【主催】アサヒビール(株)、JEEF
若武者と過ごした4日間
今回の若武者育成塾は神奈川県の環境問題をテーマに、座学だけでなく湘南国際村(観察)、小田原峰自然園・森戸海岸(体験)、神奈川県アサヒビール工場(見学)など、五感を最大限活用し学ぶ4日間となりました。
神奈川の環境問題というと工場排水など、いわゆる過去の公害問題のイメージが強かったのですが、都市緑地や外来種など都市問題と複雑に結びついた現状を知ることが出来ました。高校生たちは、フィールドワークの現場と自分たちの研究課題を比較するなど、学習生産性が非常に高く、主体的に取り組む姿勢が見えました。
高校生なのに凄いね
僕は期間中これを絶対言わないと決めていました。地元の問題に対し真剣に向き合っている彼らに対し、僕らも真剣に接しなければ、失礼だと思ったからです。事務局の原田さんはTA(※)研修の際に、こう仰いました。「TAの大きな役割は、ファシリテーションに加え、本気で取り組む社会人の姿を、高校生に示すことである」と。学生と本気で議論し批判してくれる大人はなかなかいないものです。
※1:チームアシスタント(TA)アサヒグループの社員で構成される。
また彼ら自身も、周りの同年代と比べ、一味違った活動をしているという自負があります。それを推し進めるには、「高校生」という括りではなく、地域を担う人材の一人としての自覚を持つことが必要でしょう。今後半年間、アクションプランを展開していくことで、どう成長していくか見守りたいと思います。
普段どんなことをしてるんですか?
初日、ある高校生からこんな質問を受けました。僕は「フランス語を勉強してるよ」「フランスで仕事をするんですか」「いや、そういう訳では」「もったいないじゃん」こんなやりとりがありました。僕は、その「語学→そこで働く」という発想が、短絡的に感じました。
アフリカを始めとした一部の国や地域では、フランス語が公用語であることや、身の回りにもフランス資本の企業がたくさんあることを彼らが知っていれば、もう少し深みのある会話になったかもしれません。このように、「面白いアイディア(質問)はベースになる知識や経験とその最適な組み合わせによって、生まれるのだ」と感じました。この夏合宿は彼らにとって、そのことを知るきっかけになりました。
例えば、森と海のプログラムは一見独立しているように見えますが、「ブリの森(※2)」に見られるように、生態系の観点で連関があると学びました。俯瞰的な視点が得られたのです。
また、「鳥獣被害を考える上で、動物にとっての震災後の環境変化も考慮すべきではないか」など、初日とは別の観点での議論が進むことがありました。
※2:ブリの森づくりプロジェクトとは、「森の再生からブリのくるまちへ」をスローガンに掲げる、市民主体の環境保全活動
アクションに向けて
今回参加した高校は、明確な理念、なぜこれをやるのかが、よく考えられていたチームばかりでした。周囲を巻き込んでアクションプランを進めていくためには、明確なビジョンや理念があり、思いを語れるということが何より大事なことだと感じます。
12月の成果発表まで時間が限られる中、どこに労力を割いてゆくべきか、色々と悩ましい問題が出てくると思います。その度に、合宿最終日で明確にした自分たちの方向性を振り返りながら、進んでいって欲しいと思います。
読者の皆さん。12月に行われる成果発表をぜひ見にきてください!
参加校とテーマ一覧
- 宮城県農業高等学校 バラで被災地を変える。
- 茨城キリスト教学園高等学校 言わせない。もうブスなんて
- 神奈川県立吉田島総合高等学校 幻の里芋プロジェクト 弥一芋の普及を目指して
- 広島県立庄原実業高等学校 田んぼアートで庄原を元気に!!
- 香川県立笠田高等学校 よみがえれ、我が故郷の自然
- 宮崎県立飯野高等学校 鹿被害と環境保全
- 鹿児島県立市来農芸高等学校 TSUBAKIプロジェクト
2016年11、12月
- 「高校生」から「若武者」へ
- 3つのアプローチでバランスの良い環境教育(ケニア共和国)
- 環境教育こそ数値で評価できない部分に光を
- パート2:バングラデシュ現地からの環境レポート第3回 〜現地NGOが考える ごみ問題解決に向けての環境教育活動 編〜
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- 対談:なぜ進まない? 環境教育の効果測定
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