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機関誌「地球のこども」

「道の駅」から始まる、小さな国の大きな一歩(ブータン王国)

文:松尾 茜 (↑写真:ブータン王室公式ページより)

心やさしい国、ブータン

ブータン王国は、ヒマラヤの懐に抱かれた、人口約70万人の小さな仏教国。国民総幸福(GNH)の向上を目指して国づくりをしています。幼いころから争いごとが嫌いで、歴史上の戦争や、現在も世界中の様々な場所で起きている紛争で苦しむ人々を報道で見る度に、心を痛めていた私。仏教の精神に則り、「すべての生きとし生けるもの、そして国民一人ひとりの幸福度の向上」を目指し、「伝統文化の保護」・「自然環境の保全」・「社会経済発展」・「良い統治」というGNH4本柱の調和がとれた国づくりを行う「心やさしい国、ブータン」に惹かれたのは、自然な流れでした。

そんな大好きな国、ブータンで私は約5年半、国の重要な稼ぎ頭である「観光」の開発を通じた、持続可能な地域づくりの仕事に従事してきました。思い出は数知れずありますが、今回は私がブータンの活動の中で、大変だったこと、嬉しかったことのベスト1をご紹介したいと思います。

ゼロからの地域おこし

山に囲まれ自然環境も厳しいブータンでの主な外貨の獲得手段は、水力発電と観光。特にJEEFの活動地域である、標高2,700mのハ県では、育つ農作物に限りがあるため、観光に力を入れることに。

少子高齢化を迎えた日本では、地域は「再生」するものですが、インド・中国と国境を接し、長い間ほぼ鎖国状態だったハ県では、ゼロからの地域「開発」を行っている段階。少し大げさですが、私は明治維新の時代のお雇い外国人のような気持ちで、若くてエネルギッシュなブータンの人たちと一緒に現場で汗を流してきました。農家ホームステイ開発、ローカルガイド育成、地元の特産品開発、そして地域観光の拠点となる「道の駅」の開発を行いました。

3年の事業終了時には、ブータン首相もホームステイ農家で石焼風呂を満喫

大変だったことBest1

特に力を入れ、かつ大変だったのは、地元の特産品開発。ブータン全土でも、外国人向けのお土産はほとんど無く、よく言えば可能性は無限大。素材探しなどゼロからのスタートで手探り状態でした。自分たちが日常の生活に使うモノではなく、「観光客向けのお土産」とはそもそもどういうものか? という基本的なレクチャーから始めました。

作り方の指導から始まり、パッケージや価格設定などを、地域のみなさんと共に、「基本のき」から行っていきました。そこで苦労したのが、作り手のみなさんのモチベーションを高めること。そもそも苦労してお土産品を作って売らなくても、野菜や牛乳などの農畜産物の一次品を売ったお金でそこそこの生活はできていました。

仏教の教えもあって欲の少ないブータンの皆さんは、研修に継続して参加しなかったり、質が悪い商品を作ってもそれで満足してしまったりと、一進一退が続いたのです。

最終的に

品に注力することに。

お土産研修に参加した若者たちは、どうも遊び半分?

嬉しかったことBest1

でも、辛抱と忍耐は、少しずつ功を奏して実を結んでいきました。地域の夏祭り、地域の守護神「アプ・チュンドゥ」生誕祭、建国記念日式典と、行事の度に出店しお土産を販売していくことにしたのです。ブータンには珍しく綺麗にパッケージされたお土産品の売り上げは上々。最初はしどろもどろに商品の説明をしていた作り手の皆さんも、お祭が終わるころには、自分で「これだけ売ったんだ」と得意顔に。

建国記念日式典では、作ったお土産を首相と国王にプレゼントすることもできました。結果的に45人ほどの人たちが研修に参加し、その中で8人が、自発的に動くコアメンバーに成長しました。4月にオープン予定の道の駅を舞台に、思う存分、商品を作り、販売していってもらいたいと、私も胸が膨らんでいます。

夏祭りの出店では、NHK Worldの取材を受けました。

持続可能性のために私たちができること

ハ県の「道の駅」を中核とした持続可能な開発は、まだ始まったばかり。日本人をはじめ、多くの観光客が現地を訪れ、「賢明な消費者」としてハの人々に知恵と良い刺激を与え続けてくれることを、願ってやみません。日本で暮らす私たちは、たとえ頻繁に現地に行くことができなくても、途上国で作られたフェアトレードの商品を購入したり、途上国に旅行して現地の工芸品を購入したりすることで、十分にその土地の人々に貢献することができます。

私も、地域の作り手・売り手のみなさんの表情がやる気に変わったあの瞬間の感動を、いつまでも忘れずに胸に抱き、たとえ現場にいられなくても、遠くからできるだけのサポートをし続けたいと考えています。

松尾 茜(まつお あかね)

東京都出身。旅行会社でインバウンド関連の業務に5年間従事した後、ブータン王国へ渡航。ブータン政府観光局勤務の後、JICA草の根事業『ハ地域における地域に根ざした持続可能な観光開発プロジェクト』にてJEEFブータン駐在員として活動。2018年1月、のべ5年半に渡るブータンでの活動を終え帰国。

2018年3、4月号

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