機関誌「地球のこども」 Child of the earth

歌と対話にこころ揺らされた夜 アースデイ後夜祭FESling が残したもの 2017.08.17

文:鴨川光(ジャパンGEMSセンター研究員)

【実施期間】4月23日(日)
【実施地】国立オリンピック記念青少年センター
【主催】JEEF

4月22〜23日に代々木公園で開催された「地球のことを考えて、行動するフェス」アースデイ東京。昼の熱気をそのままに行われた後夜祭は、その場にいた全員のこころに大きなプレゼントをくれました。

自分の人生を丁寧に生きるということは、目まぐるしい都会の生活の中でついつい忘れられているのかもしれない。自分が住んでいる地域を知ること、食べるものについて思いを巡らせること、自分のこころとからだの変化に耳を澄ませること。当たり前のように感じることがいつの間にか後回しになり、気づいた時には大きなひずみになっている。私たちは自分の人生よりも、何を優先して生きているのでしょう。

自分の暮らしに目を向ける

今年で3回目の開催となる後夜祭。その醍醐味はなんといっても多種多様なゲストと参加者の化学反応によって展開されるその場限りの対話、そして感じたことをすぐ書き留められるように、床中に敷き詰められた巨大な「廃紙」です。

印刷工場の輪転機で使う紙のロールは、それぞれのお客さんのニーズに合わせた一点もの。たとえほとんど使わなくても廃棄されてしまうのです。それはもったいないということで、印刷工場から大量に譲っていただいて、大きな落書き用紙として再利用しています。

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トークゲストとして最初に登場したのは、鹿児島県の山里で、公共の電気・水道・ガスを使わず、年間家賃1万円の「低支出、低負荷」の家で暮らす「ヒッピー」テンダーさん。彼はいま、鹿児島の廃校を利用して家や乗り物まで作れる市民工房「ダイナミックラボ」をオープンしたばかり。
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しかもこの工房、ソーラーによる電力自給+雨水利用+下水の自作+薪暮らしというフルオフグリッド環境で運営されているというからすごい! 廃校をリノベーションする費用はクラウドファンディング、工事はボランティアでまかない、個人発でも多くの人を巻き込みながら地域活を性化していけるのだと力強く語ってくれました。

続いて登場したのは、JEEFの理事でもある「女性冒険家の先駆者」高野孝子さん。北極、アマゾンなど世界各地を旅して各地の人々とふれあってきた高野さんからの投げかけは、「自分の人生を丁寧に暮らしていますか?」というもの。この問いを聞いて、ハッと冒頭に書いたことが頭に浮かびました。
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ミクロネシアにあるヤップ島という小さな島では、私たちの街にあるようなものは「何もない」けれど、暮らしを豊かにするものは「何でもある」とのこと。持続可能な社会の像を描くとき、私たちはこの世界の多様性とどう向き合い、尊重し合えるのでしょうか。

いきいき生きる!

前半のふりかえりを挟んで3人目で登場したのは、大手企業のエンジニアから40代で木こりに転職した「脱サラ木こり三木一弥さん(森と踊る株式会社)。

「不惑」といわれる40歳を過ぎてから、自分の生き方や社会とのかかわり方に疑問を持ち始めなした。ある日たまたま立ち会った間伐で、オフィスでは味わえなかったリアルな生(せい)を感じたそう。

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知識も技術も、木を伐る道具すら持たないままに家族を説得して会社を辞めてしまったのです。そのような状況の中「シェア」という概念と出会います。何かを所有するのではなく、分け合う・助け合うことを前提にすると、一人で頑張りすぎなくてもいい。

そして三木さんは言います「多少無茶してもすぐ死ぬわけでもない。もっといきいき生きましょうよ!」。

三木さんのストレートな言葉は、進路や生き方に自信を持てないでいた参加者たちをぐっと勇気づけました。

そんな会場の熱が静かに高まった空気の中、最後に登場したのは映画『千と千尋の神隠し』でリン役の声も務めた「ウタウタイ」玉井夕海さん(渋さ知らズ)。アコーディオンを片手に静かに平和への想いを語り、そして伸びやかな声で歌いだしました。
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世界には課題があふれています。誰一人取り残されることなく(No one will be left behind)、私たちがほしい未来を叶えるのは一人一人の小さな積み重ねに他なりません。誰かにつくってもらう未来ではなく、まずは自分がいきいき生きられる暮らしを自分で模索していきましょう。

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