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機関誌「地球のこども」

つくる力こそ生きる力 今! (モノづくりを通して「伝える」)

文:宮崎 喜一 ART&LIFE自然学校

新しい環境教育の模索

僕が「工房地球号」を立ち上げたのは38年前の事。僕が開いていた「FRANK.K.MIYAZAKI」というクラフトギャラリーに集う若い造形作家達を誘って、名古屋市内の一等地にある五百坪もある大きなお屋敷を借りて、それぞれの工房を作り、暮らし始めた。設立の目的は「ものづくりを通した生活革命」。ちょっと大げさだけど、あの頃の僕らのとんがった心意気とでも言おうか。

大量生産、大量消費から脱却し、手作りを通したシンプルで創造的な暮らし方こそが、閉ざされた地球に住む人々の目指すべき生き方なのだ、という思いを持ってスタートさせたのだ。

それから3年後には、愛知県小原村(現豊田市)に藁屋根の農家と畑を借りて「山の工房地球号」を増設。そこでは「暮らしを紡ぐ塾」という名を掲げ、自然農法の畑作り、陶芸の窯作り、合掌造りの茶室作り、山村の暮らし方の知恵を聞く、自然分娩、太極拳、ヨガ、それからアート、音楽、など様々なワークショップを一年を通して開催していた。

これは僕らだけではなくて、経済優先社会に疑問を抱いた当時の日本の若者達、いや世界中の若者達の中に起こり始めたムーブメントでもあった。それまでのストイックにひたすら権力にプロテストするだけではない、若者達の緩やかで具体的な行動だったと確信している。現在の環境教育活動を支える老舗と言われる自然学校もおそらくこの時期にスタートしていると認識している。

「ART&LIFE自然学校」は、僕が飛騨で5年間携わっていた自然学校の体験の後、「アート、クラフト、食」をプログラムにした環境教育を行うため、2005年に愛知県瀬戸市で本格的にスタートした。飛騨の自然豊かな環境の中に子ども達やファミリーを招き、美しいフィールドを使い、体験活動を行なっていた時に、ふと僕はある疑問に突き当たった。「結局僕らは自然環境を守るための人作りではなくて、ただ自然体験を楽しめる大人を育てているのでは?」「子どもたちや家族の日常の暮らしがこの体験だけで本当に変わるのか?」「環境の現状は、自然体験を通して本当に改善の方向に向かうのか?」などなど。勿論その大切さは理解しての事。

僕にはもっと自分自身の身の丈に合った活動方法があるのでは…と。

作る手を無くした現代人

街に暮らしていて私達人間は、自然から逃れられる事はできない。何故なら衣食住からエネルギーまで、人間は全て自然から得られているもので生活しているからだ。もちろん「空気」だって植物達があってバランスを取っているのだから。

僕が「ART&LIFE自然学校」で目指すものは「手を通して考える、自然の借り方と返し方」である。私達は古来から居住地域の周りに在る自然素材を、知恵や体験を伝承させながら、道具を作り、使い、暮らしてきた。ところが近代になると貨幣経済が発達し、道具や食品、暮らしに関わる全てが専門化や分業化されて、全てのものが商品となった。そして暮らしを続けるための金銭を得る目的で働き、ほとんど全てが買うという行為でしか生活ができなくなってしまっている。本来自然にあった素材は、過剰に採られ輸送、加工され、商品という形になって店頭に並ぶのだ。

しかし、これらのシステムを当たり前にまるごと受け入れ続けている限り、「地球環境の改善」や「自然との共生」に向かうとは到底思えない。事実、自然災害が起こった時、全く私達はなす術も無く、ただ救援を待つという行動を余儀無くされている。

現在の学校教育の中では、道具を使う手を育てる機会はなく、ペンとマウスしか使えない手を持つ大人を創出していると思う。

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美意識と環境教育

「地産地消」「資源の再生」「ローインパクトな採取」「リサイクル」「分かち合い」「保存」などなど。世界の先住民族やかつての日本人の暮らしの中に、実は現代の人達の暮らし方のヒントがたくさんある。決して物質的には豊かではないけれど、精神的に心豊かな暮らしの時間が流れていると思う。彼らは生活圏の周りにある自然を知恵の伝承と手の技を通して、綿々と暮らしを繋いで来たのだ。今のうちにこの知識や知恵を次世代に繋げる事も私達の役割だと思う。

環境を良くする三つの方法があると言われている。「法律」「技術」「意識改革」。ならばこれらを小中学校のどの教科で子ども達に伝えてゆくのか。「法律」は社会科、「技術」は理科、そして「意識改革」なのだが、僕は美術、音楽そして国語だと断言する。つまりそこに共通する「美意識」こそが「行動」の原点だと思うからだ。原発の問題や環境破壊もデータだけでなく、心で醜いと判断出来る事。自然の織りなす森羅万象に心が動き、そこに生きる全ての生き物たちの命に敬意をはらえるということは「美意識」を持ち判断しているからだと思う。もちろんデータや法律を蔑ろにしているわけではない。

五感を生かすモノづくり体験

わが自然学校の最新ワークショップに「アルミ板を打ち出してカレー皿を作り、スパイスをブレンドしてドライカレーを作り、手を使って食べる」という一日プログラムがある。

平らなアルミ板を木台の上で木槌で叩きカーブを作り出し皿の形にする。さらにタガネをヤスリで削り、皿に模様を刻み込む。次に食材をみじん切りにして炒め、15種類ものスパイスから気に入った香りと味のスパイスをブレンドし、出来上がったドライカレーを自作のお皿に盛り付け、手で混ぜながら食べる。

自然木を柄にしたアルミのスプーン作りは30分程で出来るプログラム。各地のイベントなどで体験出来る入門編

自然木を柄にしたアルミのスプーン作りは30分程で出来るプログラム。各地のイベントなどで体験出来る入門編

 

全て工具などはプロ用を使用。実際に暮らしの中で繰り返し使えるもの作りを目指しています

全て工具などはプロ用を使用。実際に暮らしの中で繰り返し使えるもの作りを目指しています

 

同じ材料でも出来上がりは違う様に 一人一人の美意識を大切にしています

同じ材料でも出来上がりは違う様に 一人一人の美意識を大切にしています

このプログラムには人間の基本五感、全てを楽しみながら体験できる様になっていて、親子参加なので家に帰ってもその体験が家族で持続できる。もちろん出来上がったカレー皿は、家で食器として繰り返し使用できるクオリティを持っている。更に僕のオリジナルドライカレーのレシピもプリントして配布した。

環境教育の手段には、様々あって当然だと考える。それぞれがその自然学校や個人のスキルやポテンシャルを活かして行われるべきで、そのバリエーションは無限大でいい。子供達やその家族の中で会話が始まり、少しでも行動に移せる様なアクティビティが今こそ必要なのだと思う。

子どもたちとこの地球の未来は決して明るくはなくて、今の報道にはなかなか載らないニュースが僕のフェイスブックには毎日の様に入ってきて、毎日の僕を憂鬱にさせる。

しかし猶予のない今、だからこそ私たちはあらゆる方法で行動して行かなければならない。自らの手と美意識を信じて。

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宮崎 喜一(みやざき きいち)

体験活動に参加。1979年「生活にアートを」をテーマに工房地球号設立。金属を中心とした造形活動や広分野でのプロデュース活動を展開。愛知県立芸術大学、デザイン専門学校で感性を育てる教育を行い現在に至る。2000年岐阜県高山市に移り、オークヴィレッジ森の自然学校ディレクター及び森のレストランシェフに就任。2005年秋より愛知県瀬戸市に住まいを移し、「ART&LIFE自然学校」を設立。アート、クラフト、食をテーマに独創的なものづくりプログラムを多数開催
ART&LIFE自然学校

2013年12月号

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