人が育つ場づくり 第5回 フィードバックの留意点
- 2020/06/16
- カテゴリー:人が育つ場づくり

文:武石 泉(NPO法人体験学習研究会)
気づき変化する機会に
実践を見守り、事実を共にふり返る。そのときに言われることがいわゆる「ダメ出し」で終わってしまうと、お互い苦しいものです。人が育つ上で効果的な「フィードバック」とはどんなものでしょうか。
図は、ジョセフ・ルフト (Joseph Luft)とハリー・インガム (Harrington Ingham)が考案した「ジョハリの窓」。自分が見た自己と他者が見た自己を組み合わせ4つに区分した、自己理解に役立つモデル図です。「自分は分かっていないが、他者には知られている」Bのエリアにある行動に、フィードバックが有効であるとされています。
本人にとっては「当たり前」のことであっても、周囲の人には「あれ?」と感じることがあります。「こんなことをしていたよ」「それを見てこう感じたよ」と、周囲の人(指導者側)が言葉で伝えていく。(悪い印象の事実だけに限らず、良い印象を持ったことを伝えていくことも大切です)
そのフィードバックを受けて「え、そんなことしてた?」と気づきが生まれれば(意識化)相手へのプレゼントになるわけです。
お互いの成長に役立てる
その際にもいくつか留意することがありそうです。
- やったこと=事実を元に、具体的に伝える(事柄であって人柄を言うのではない)
- 指示(こうした方が良い)や訓示(世間では、常識ではこうだ)ではなく、「わたしはこのように感じた」と自分を主語に伝える
- 一方的に伝えて終わらず、相手の意見を聞く
例えば「君は大ざっぱだから、説明も雑で、解りにくいんだよ」と言われても変化するのは難しいのではないでしょうか。
どの場面のどんな言葉について、聞いている人のどんな反応があったから、伝わりづらいとフィードバックする人は感じたのか。事実を言われることで考える手掛かりができます。(指導者側にも観察力が必要になってきます。)
そして、事実を元にお互いにコミュニュケーションをとること。相手の意見に耳を傾けたら、行動の理由や相手の思いが解り「だったらこういう方法もあるかな?」と新しい考えが生まれる可能性も出てきます。
指導者側も今までの当たり前に気づかされるかもしれません。伝えるだけでなく指導者側は「聞くこと」を意識してお互いの成長に役立つ「丁寧なやり取り」をしていきたいですね。
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