人が育つ場づくり(体験学習的人材育成を考える) 第4回主体性を持った人材を育てるために
- 2020/04/14
- カテゴリー:人が育つ場づくり

文:川瀬 雅子
社会人になってかれこれ数十年。若手職員を育成する機会があります。我が社では「主体性を持ってプログラム(参加体験型のワークショップなど)をつくれること」を、育成における一里塚として大切にしています。この点において、私が日頃大切にしていることは… という視点でお伝えします。
自分が選択した、という状況をつくる
「進む道は自分が選択した」という状況をつくる(自分が選んだ、よしやるぞ!という気持ちにさせる)ことを大切にしています。育成側がキャリアの次のステップをいくつか示す中から本人が選ぶというのが現実ですが、それでも「自分の意志で道を選んだ」というスタートが切れると、その後の行動にも主体性を持ちやすく、実行後の「ふりかえり」の質が上がります。ふりかえりを機能させるためにも、「主体性を持ち、自分と向き合い、自分の言葉で語る」ことが大切です。他人のせいにしていると自分に力はつきません。
プログラムづくりを通して行う人材育成
次に、プログラムづくりを通して主体性を持った人材をどう育てていくか。これについては、「参加体験型森林環境教育活動・組織づくりガイドブック」(公益社団法人国土緑化推進機構発行)に好例がありましたので引用します。
第一段階はとにかく参加者として楽しい! を存分に味わい、第二段階の記録を取ることを通じて、プログラム全体を俯瞰する機会を得ます。起こっていることを言語化する行為は、後のプログラムづくりにも直結します。
第三段階は、プログラムに必要な物品を用意することなどを通して、企画者目線と参加者目線の隔たりなどを肌で感じ、間を埋めていきます。ここまでは裏方として経験を積みます。
第四段階からはプログラムの脚本を書き、実施するという全く別次元に入りますが、第三段階までの下地があることが大前提です。プログラムの一部分を担い、脚本を書きプログラムを実施し、見てわかることと実際やることの違いに愕然とし… またチャレンジをして… を繰り返します。
していよいよ第五段階。プログラムの全体像をつくり、全体進行するには様々な力が必要です。登り切れるかかわからないような大きな山に向けて、コツコツと準備してアタックするような感覚でしょうか。数年かかるかもしれませんが、この段階まで行ったら、一人前ですね。
単に教えてやらせるのではなく、実践を通して、主体性を育てるのは双方共にとても根気がいりますが、社会人として物事を見る視点が多角的になり、その他の様々な仕事にも波及効果は高いです。
2020年3、4月号
- 事務局長退任にあたって
- 地域資源の使い方から 豊かな暮らしのタネを学ぶ
- 人が育つ場づくり(体験学習的人材育成を考える) 第4回主体性を持った人材を育てるために
- 持続可能な世界を実現する、豊かなライフスタイル体験の場としての宿泊施設
- 小さなサスティナブルのカケラ第2回:今月みつけたカケラは「シェア」
- 心地よく気持ちのよい「地球に配慮した暮らし」を感じる宿 〜バリのエコホテルMana Earthly Paradise〜
カテゴリー
- worldexpress (13)
- 事業レポート (79)
- GEMS (2)
- JICA草の根技術協力事業 ブータン王国ハにおける地域に根ざした持続可能な観光開発と人材育成プロジェクト (6)
- JICA草の根技術協力事業 ブータン王国ポブジカにおける地域に根ざした持続可能な観光の開発 (6)
- NEC森の人づくり講座 (2)
- SAVE JAPANプロジェクト (1)
- インドネシア (6)
- カンボジアにおけるオオヅル及び生息地の保全に関する環境教育・普及啓発事業 (1)
- きのこたけのこ里山学校 (2)
- ハイフォン市都市環境整備にかかる環境教育・普及啓発プロジェクト (3)
- バングラデシュ国における事業 (18)
- 企業の人材育成事業 (1)
- 市民の市民のための環境公開講座 (4)
- 日本の環境を守る 若武者育成塾 (7)
- 東京シニア自然大学 専科 (2)
- 東京シニア自然大学 本科 (1)
- 清里ミーティング (3)
- 王子の森自然学校 (2)
- 人が育つ場づくり (5)
- 国際事業コラム (24)
- 地域の課題解決あの人に聞きました! (8)
- 寒さを楽しむ。温もりを感じる。 (1)
- 小さなサスティナブルのカケラ (4)
- 投稿 (4)
- 次世代のホープ達 (3)
- 清里ミーティング30thコラム (1)
- 特集 (131)
- 「伝える」ちから (3)
- 「未来を豊かに」を仕事にする (5)
- 「食」をとおしていのちをつたえる (3)
- 2020年までにチェックしたい9つのサスティナブル・トピック (3)
- esdユネスコ世界会議を終えて (4)
- JEEF25周年 私を形づくっている自然の原体験 (3)
- SDGs×教育 (3)
- アクティブラーニングってなに? (3)
- あなたの買い物が社会を変える (3)
- いま泊まりたい“学べる宿” (3)
- クリスマスの景色が変わる?生き物の変化と気候変動を知る。 (3)
- さあ! 2枚目の名刺をもとう (3)
- サイエンスと環境教育 (1)
- シニアからの環境教育 (2)
- どうする? サスティナブルな洗濯 (3)
- メディアを使った間接コミュニケーション (3)
- もうすぐ春がやってくる! 写真で伝えるセンス・オブ・ワンダー (1)
- 人と環境をつなぐ「花」のおはなし (3)
- 人気アウトドアメーカーは どんな環境の取り組みをしているの? (2)
- 今、子どもに向けたワークショップが熱い! (2)
- 今年こそ、エコツアーに行こう! (6)
- 今年こそ資格をとろう!自然体験型環境教育の資格・認定 (1)
- 地域を動かす移住者たち (3)
- 変わる!プラスチックの使い方 (3)
- 外であそぼう! (4)
- 夫婦で森に生きる (3)
- 子どもたちの自立を育むコミュニケーション (3)
- 学校で有効な環境教育的教育手法 (3)
- 市区町村の都市型環境教育のとりくみ「水」「森」「施設」 (3)
- 日中韓の環境教育の今 (3)
- 日本ならではのSDGsって? (4)
- 海の環境問題と環境教育 (3)
- 清里ミーティング30th (5)
- 環境教育✖️フェス (4)
- 環境教育って効果があるの? (2)
- 環境教育施設としての動物園・水族館 (3)
- 自然を感じる服 (3)
- 自然学校でラーケーション&ワーケーションしよう! (1)
- 自然学校の今 (7)
- 遊ぶ、学ぶ、サステナブる。 (1)
- 里山イニシアチブ 野生動物と向き合う (1)
- 食とエネルギー (3)
- 食べ物を育てる×教育 (2)
- 食品ロスから環境を考える (3)
- 理事コラム (11)
- 環境教育のものさし (7)
- 考えるっておもしろいかも!? (31)
- 超大 狩猟免許をとる! (3)
- 鈴木みきの山便り (5)