機関誌「地球のこども」 Child of the earth

カエルの胃は福袋!? 〜石垣島で取り組む外来生物問題〜 エコツアーふくみみにききました【沖縄】 2016.08.26

文:大堀 健司(エコツアーふくみみ)

「気がついたらカエルの胃が福袋に見えていました」

 外来生物問題の環境学習で中学1年の女の子の授業後の感想。いやだなーと思って臨んだ特定外来生物オオヒキガエルを解剖しての胃内容物調査。オオヒキガエルの胃を恐る恐る覗いてみると、多種多様な昆虫にヤドカリなども出てきます。胃の中から見えてくる生物多様性。気が付くとピンセットを手に前のめりになっている姿が…。

サトウキビの害虫駆除を目的に南米から導入されたオオヒキガエルは、石垣島で大繁殖し問題になっています。胃内容物調査ではオオヒキガエルが暮らしている自然の豊かさを間接的に知ることができます。何を守るために外来生物問題に取り組むのかを、中学生たちは理科室の体験から学ぶことになるのです。

私たちの行う外来生物の学習では、胃内容物調査以外にも、生物の個の命と生態系全体としての命について考える学習を、道徳の授業と関連付けて行うなど、プログラムを学校の先生や環境省のレンジャーとともに、試行錯誤しながら作り上げてきました。今年は石垣島だけでなく八重山地域の理科教員のみなさんにこの学習を体験していただく予定です。

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エコツアーふくみみは石垣島の観光と環境教育の小さな個人商店です。エコツアーではサンゴ礁シュノーケリングやマングローブカヤックなど、通年で様々なプログラムを提供。小さなお子さんのいるご家族に人気です。地元の子どもたちを対象とした環境教育では、サンゴ礁保全や海岸漂着ごみ問題などをテーマにインタープリテーションを駆使して、楽しい体験学習を提供しています。

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私たちにとって外来生物の環境学習は大きなチャレンジでした。専門性が高く、具体的な答えが見つかりにくい、そして生き物の命が絡んでくるデリケートなテーマです。それを思春期真っ盛りの中学生に対して行うことの難しさ。でも手ごたえも大きく、効果を感じることもできました。
ふくみみはこれからも地域特有の環境問題に様々な手法で取り組んでいきます!

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大堀 健司(おおほり けんじ)

エコツアーふくみみ代表。東京生まれ。琉球大学にて地質学専攻。地質調査業を経て2001年から石垣島でエコツアーふくみみ開業。「海辺の環境教育フォーラム2014in沖縄」実行委員長。

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