被災地での活動を通して学生たちが考える 自分の“未来”設計図(第28期 NEC森の人づくり講座)
- 2015/06/09
- カテゴリー:NEC森の人づくり講座, 事業レポート

【開催日】2015年2月3日(火)~6日(金)
【会場】手のひらに太陽の家(宮城県登米市)他
【主催】JEEF
【協賛】NEC
【協力】(一社)くりこま高原自然学校、(特非)森は海の恋人、(特非)日本の森バイオマスネットワーク、NECネッツエスアイひまわりハウス
大学生対象の環境教育講座「NEC森の人づくり講座」を実施しました! 自然体験を通して環境を学ぶことで、将来、企業・学校・役所またはNPO/NGO等で、環境に配慮しながら持続可能な社会をつくる社会人となる人材の育成を目指す3泊4日の講座です。これまで800名近い修了生を輩出し、社会のさまざまな分野で活躍しています。
役割を持って取組むさまざまな被災地支援
NPO法人森は海の恋人副理事長の畠山信さんは、フィールドを案内しながら津波があった時の様子をお話してくださいました。電柱の5mも上まで津波がきたこと、農作放棄地だったところが干潟になり、アサリがとれるようになったことなど、すべてを元に戻すだけではなく変化を受け入れる必要性、さらにボートで沖へ出て、牡蠣の養殖イカダの見学を通して、森から川、川から海へ水や栄養分が流れてくることで美味しい牡蠣が育つことを学生たちは学びました。

ボートに乗って牡蠣の養殖いかだの見学へ
くりこま高原自然学校では、代表理事の佐々木豊志さんが4日間同行する中でさまざまな話をしてくださいました。2008年の宮城内陸地震、2011年の東日本大震災と、2度の被災を経験している佐々木さんは、自然学校の持つサバイバルの技術やノウハウを活用し、避難所の支援を行った時の話をして下さいました。また、木材を取り扱う企業やメーカーなどと一緒にNPO法人日本の森バイオマスネットワークを設立し、ペレットストーブの普及や化学物質を含まない木材での建築を進めるなどの活動を通して、複数の異なる立場の人たちが同じ目標に向けて協力する姿を見せてくれました。今回の講座で宿泊拠点となった「手のひらに太陽の家」も、このモデルとして建てられたものです。学生たちは4日間、木の温かみに包まれて過ごしました。
また、JEEFのインドネシア事務所とのTV会議(skype)を通して、グローバルな視点からも環境を考えました。インドネシアで活動する現地の人たちに国立公園での活動を紹介してもらい、学生たちから活発に質問が飛んでいました。JEEFの職員がうまく地域に入って活動している様子に、学生たちは感銘を受けている様子でした。

インドネシアとのTV会議
TV会議を行ったのは、NECネッツエスアイの運営するコワーキングスペース(人が集う場所)「ひまわりハウス」です。IT設備を自由に使えるスペースを提供するかたちで被災地支援を行っています。講座の中ではひまわりハウスの紹介や、NECが行う社会貢献としての被災地支援のお話を聞き、市民団体とは異なる専門分野を活かした企業の視点を学びました。
5年後の「未来」を描く
さて、学生たちには1日目に「環境活動を通して被災地に何ができるか」をテーマにグループで話し合ってもらった後、大切だと思うキーワードをひとりずつ出してもらっていました。それぞれの講師からもキーワードをいただき、彼らがどのような想いで活動を続けているのか、学生たちも短い単語から感じ取っていた様子です。
3日間の体験や学びを通して、再度同じテーマでグループでの話し合いとキーワードの書き出しを行い、どのように意識が変化したかを比較しました。「発信」「知ること」など変わらないものもある一方で、「良心」「産業」「教育」「現地の人たちとの関係」など、3日間で出逢った人たちが大切にしていた言葉も多く出されました。

みんなの未来設計図
その後、学生たちには「5年後の2020年までの目標」を各自で設定してもらいました。目標が設定できると、2015年から1年ずつ、2020年の目標を達成するためのプランを描いていきます。最後に全員分の「未来設計図」を横一列に並べ、1年ずつ、誰がどんな活動をしている予定なのか見ていきました。同じタイミングで海外に出て行く人、結婚する人、研究者になる人、移住する人…。それぞれが夢に向かって邁進する様子が目に浮かぶようでした。
「未来設計図を描く」と言葉にすると一言ですが、発表の段階まで進めるには、3日目の午後から4日目の昼まで、ほぼ丸1日を使いました。初めはみんな、漠然とした目標です。仲間と話しながら少しずつ掘り下げられて、どんどん夢が膨らんでいく学生がいる一方で、なかなか5年後のイメージがわかず、苦戦している学生も多く見られました。

夢がある人と、まだ夢が見つかっていない人へ
そんな学生たちに、スタッフから「夢がある人と、まだ夢が見つかっていない人へ」というメッセージが送られました。新潟の若手米農家の人の言葉です。未来設計図の作成を通して、苦戦していた学生からは「5年後の目標がぜんぜん具体的に書けない、ということに初めて気がついた」と感想をもらいました。これから社会へ飛び出していく彼らがどんな大人になっていくのか、漠然としたイメージではなく、なりたい姿をしっかり言葉にして描くことで、彼ら自身の未来が少し鮮明になったのかもしれません。
発表を終え、横一列に並べられた「未来設計図」を持って記念撮影をしました。20枚の未来設計図が並んだ様子は圧巻です。学生たちは講座の1日目、緊張の面持ちで集合場所に来たときと比べ、とても誇らしげで、頼もしい表情になっていました。新たに誕生した「森人(もりびと)」20名の今後の活躍が、とても楽しみです。
文責:垂水恵美子(JEEF職員)
2015年5、6月号
- スンダルバンス地域の漁師による漁場の適切な利用を通じた、イルカとカメの保全を目指して!
- 地球で健全に生きる学び「環境コミュニケーション」
- 現地活動がスタート
- 被災地での活動を通して学生たちが考える 自分の“未来”設計図(第28期 NEC森の人づくり講座)
- 情報を手に取れない人に どうやって「認知」してもらう?
- 伝わる文章 を書くために,覚えておきたい3つのこと
- ~ 水辺の生きものやきれいな水環境をみんなで守ろう ~ 「こどもホタレンジャー」発表大会&表彰式を開催!
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