機関誌「地球のこども」 Child of the earth

考えるっておもしろいかも!?第5回 学びの環境を考える2(ファシリテーション編) 2016.08.19

前回は、教室という物理的な環境について、子どもたちの学びをサポートするためにどのような工夫ができるのかを考えてみました。今回は、子どもたちが安心して学びに集中できる心的な環境づくりについて考えてみます。

先日『学習について学ぶ』というプログラムのワークショップをしていた時の話です。このプログラムでは、2人一組になって片方が目隠しをし、指先の感覚だけを頼りに迷路に挑戦します。パートナーは、チャレンジャーが「より迷路について学べるように」サポートします。活動が終わってふりかえりをしている際に、「相手からの声で安心感が増したのでやりやすかった」という意見が多く出てきました。それぞれの人がやっていた声かけは、「いいよ! いいよ!」など応援系のものから、「うんうん」と相槌を打つものまでバラバラ。それでも自分の学びをサポートするためにかかわってくれているということに安心感が生まれるようでした。

アクティブラーニングの1つのポイントは、それぞれの子が学ぶことにベストを尽くせる環境を整えることです。学びを促進する要素・阻害する要素は人それぞれ違います。そこでヒントとなるのが、「MI理論」です。詳しい説明は割愛しますが、人間の得意不得意を脳科学から説明し、それぞれの人の特性に合わせた学び方を推奨する理論です。例えば、歴史を学ぶにしても、前後の因果関係によって理解するのが得意な子もいれば、替え歌にして音で記憶するのが得意な子もいるといった具合です。

GEMSのプログラムはこのMI理論をベースにしているので、一つのやり方を押し付けるということをしません。各自が得意な方法で課題にアプローチする自由があるので、多くの子どもたちが安心して学びやすいようです。自分のことを考えて、自分のためだけの声かけをしてくれる。この安心感と信頼感は子どもたちが学びに集中するためにとても大切なことのように思います。

kamogawa

鴨川 光(かもがわ ひかる)

1987年茨城県生まれ。ジャパンGEMSセンター研究員。 早稲田大学大学院教育学研究科修了後、2013年6月より現職。子どもの思考力や社会性の発達について研究している。ワークショップやボランティアを通して子どもたちと一緒に成長中。

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