機関誌「地球のこども」

考えるっておもしろいかも!? パート4:第10回 起きていることを学びにつなげる

文:鴨川光(ジャパンGEMSセンター研究員)

Q 子どもたちの「おふざけ」を探究に戻すにはどうしたらよいですか?

どこからでも探究は生まれる

ワークショップをしていると、子どもたちが遊びと学びの境界線をボーダーレスに行き来する姿をよく目にします。ただ遊んでいるように見えて、実はそこから重要なことを発見していたりするので、ぱっと見の判断で注意することはありません。でも、遊びが「おふざけ」になってしまっている時は軌道修正が必要です。

先日、不思議な性質を持つ「ウーブレック」という物質を調査するワークショップをしていた時のこと。高学年の男の子3人グループが、だんだんと収拾がつかなくなっていきました。2人の子が手洗い用の水で遊び始め、机に敷いていた新聞紙は水浸し。調査を続けたい1人の子は困り顔です。

そこから探究が生まれるかと様子を見ていたのですが、ひたすら水をバシャバシャしているだけだったので声をかけました。「ねぇねぇ、君たち2人の楽しいも大事にしたいんだけど、2人だけでやってるわけじゃないからさ。自分だけの楽しいを、3人の楽しいに変えるために何ができる?」

しばらく他のグループを回った後に戻ってくると、彼らの記録用紙に『新聞紙の上に乗せると固くなる。ただし、新聞紙の上に水があるときは液体のまま』と書いてあります。なんというリカバリー! しっかりと水遊びをグループの探究に昇華させたのです。

おふざけ → 遊び → 学びへ変換

僕たちファシリテーターが目指しているのは、どんな場面からでも学びにつなげることです。子どもたちが騒がしかったり、喧嘩していたり、ふざけていたり、何かを「教える」ことが難しい場面でも、その場で起きていることを使って学びにつなげることはできます。

子どもはみんな学ぶことが好きです。でも、上手くできなそうという不安や、逆に楽しすぎて興奮状態になったとき、学びに対する気持ちの糸が切れて、おふざけが出てきます。僕たちはその気持ちに寄り添いながら、切れてしまった糸をつないであげるのです。

子どもたちのおふざけを、ストーリーをもった遊び=探究に変える声かけを試してみませんか?

2019年9、10月号

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