機関誌「地球のこども」 Child of the earth

熱い夏、 新たに7校21名の若武者が誕生! 2016.02.19

【事業名】第10期 日本の環境を守る若武者育成塾
【実施期間】2015年8月5日(水)~8月8日(土)
【実施地】愛知県春日井市、長久手市、名古屋市、岩倉市
【主催】アサヒビール(株)、JEEF
【後 援】環境省、文部科学省、愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会、日本環境教育学会

次世代を担う高校生を対象に、アサヒビール(株)とJEEFが協働で実施する、環境教育プログラム「若武者育成塾」は、今年度で第10期を迎えました。

3泊4日の夏合宿では、様々な体験やグループワークを通じて地元の環境への熱い想いを仲間と共有し、チームアシスタント(TA※1)のサポートを受けながらアクションプランを作成しました。その後、高校生たちは12月に開催される成果発表会まで、それぞれの地元地域でアクションプランを実践します。

※1:チームアシスタント(TA)アサヒグループの社員で構成される。

 

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「自然と人間生活のバランス」を考える

本事業は、「地元の環境問題を何とかしたい」そんな想いを持った高校生を対象に、課題解決のために自ら考え、行動する〝志の高い高校生=若武者〟を育成することを目的としています。

本年度の舞台の中心は渡り鳥の飛来地として、日本で最大級を誇る藤前干潟。1970年代から増え続けたゴミの、埋立処分場となる予定でしたが、市民や環境団体の反対運動により中止。また、名古屋市は「ゴミ非常事態宣言」を機にゴミの減量にも成功しています。

庄内川支流での湿地観察や間伐体験、ゴミ焼却処分場、アサヒビール名古屋工場の見学はどれも藤前干潟につながるプログラムとなり、体験を通じて自然と人間生活の共存バランスについて考える機会となりました。

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話す、聞く、文字に起こす大切さ

自然体験とは別に「えんたくん(※2)」を用いたグループワークや「モニタリングパートナータイム(※3)」「振り返りの時間」を設け、アクションプラン作成に向けて整理を行いました。

※3:モニタリングパートナータイム
他校の生徒と、2人または3人1組で、話をする時間

「人と話すことは苦手だ」「思っていることが間違っていたら嫌だから…」最近の若者はこう考える傾向が多いのではないでしょうか。実際、私の高校生活をふり返ってみると、勉強と部活と睡眠で一日が終わる毎日。一人でじっくり考えて文字に起こしてみる機会は、めったになかったなと思い返しました。

ところがこの合宿では、自分が体験したことを、なんとか言語化して相手に話します。すると、相手が聞いてくれ、「あなたが言いたいことって…」と整理をしてくれる場合もあり、「同じ想いを持った仲間がいるんだな、自分も頑張ろう」と自身の意欲喚起にもつながっていきます。

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若武者の最大の学び「アクションプラン作成」

ここで学んだ事を活かし、3日目から4日目にかけてそれぞれの地元地域で実践するための、アクションプランを作成しました。ここでは引率教諭はノータッチ。高校生がTAの支援を受けながら、限られた時間の中で作成していきます。

一番の追い込みは中間発表後の練り直しです。発表で得たアドバイスやフィードバックをヒントに、さらに内容を具体的にするために、夜は24時半まで、朝は5時半に起きて作業を行う高校もありました。大人と子どもが一緒になって、一つのものを作り出そうとしている雰囲気は、言葉では言い表せない程の熱意が感じられました。

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若武者の醍醐味と22人目の若武者

私が感じる若武者の醍醐味は、合宿の前後と成果発表会での高校生の顔つきの変化です。毎年、合宿初日は不安そうな顔をしている高校生たちですが、最終日には「12月に会おうね」と自信に満ち溢れた姿を見ることができます。高校生にどんな心境の変化があったかは分かりませんが、この若武者育成塾をきっかけに殻を破ったなという実感はしています。

私にとって夏は若武者。この事業に関わって3年、今期が最後の若武者になりました。私自身、若武者を通して一人ではできないスケールのことも、周りを巻き込んで実現することができるという強みを発見することができ、一歩若武者に近づけたのではないかと感じています。(22人目の若武者になれたでしょうか…)

また、夏合宿で終わらないのが若武者の魅力。ここからがスタートです。実際に地元に戻ってアクションプランを基に活動していきます。計画通りにいかない場合もあるでしょう。困難を乗り越え、さらに成長した高校生の姿を12月の成果発表会でご覧いただけます。

文責:伊東絵里子(JEEFインターン)

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