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機関誌「地球のこども」

“おいしい”から見つけるいのちのストーリー

昨年度からビーネイチャースクールではじめたプログラムが「食べ旅」です。おいしい物を食べたいならば、自分で採って食べることからはじめてみよう! をテーマに魚、山菜などその季節ならではのものを採りに海やら野山に向かいます。

私なりの究極の食いしん坊の旅のひとつが「食べ旅」です。食べ旅で大切にしていることは、食材の知識や料理方法もさることながら、食材が育まれた環境、いわば「ストーリー」を知ることでもあります。

食材が育まれたストーリーを知る

この春訪ねた長野県栄村のフキノトウ。今まで食べたどれよりも絶品でした。えぐみが少なく、みずみずしく甘みがありながらも、あの独特なほろ苦さは残っていました。フキ味噌を作るときは、アク抜きせずに、刻んだフキノトウを入れるだけで極上のフキ味噌の完成です。

こういうものに出会ったときは、至極の喜び。でも栄村では、なぜこんなにおいしいフキノトウが採れるのでしょうか?

答えは風景にありました。

豪雪地帯に位置する栄村では、4月の下旬でもまだまだ雪が残ります。その雪の下でフキノトウは、太陽の光り求めて一心に伸びてきます。しかし厚い雪の層からは、なかなか顔を出すことはできません。言ってみれば、ここのフキノトウは「もやし」の状態なのです。しっかり太陽を浴びていないものは、緑色ではなく、薄い黄色をしています。緑色になりえぐみが出る前が美味しいのです。。さらに、雪溶けの水がえぐみを洗いながしてくれると言われています。これが雪の下で芽吹いた山菜「雪萌えの山菜」がおいしい理由です。

ところで、フキノトウの立場からすると「もやし」の状態でいるわけにはいきません。一刻も早く太陽の光をいっぱい浴びたいに違いありません。なぜなら自分の子孫=いのちをつなげなければならないから。生きのびる種になるには、丈夫でなくてはなりません。太陽の光をあび、光合成して、大きくなるということがなによりも大切だからです。人がおいしいと思う状態とはうらはらで、フキノトウは、次のいのちに関わる重要な問題をはらんでいるのですね。

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採ったものは徹底的においしく食べる

「採ったものは徹底的においしく食べること」これも大切な流儀。素材そのものの個性を知り、個性が生きるような調理方法がやはり一番おいしいのです。とはいえ、チャレンジしてみなければ、個性をさらに生かす新しい食べ方は生まれません。

例えば、フキノトウは、みそ汁やスープの吸い口にすると香りがふわーと立ちます。フキ味噌を作るときは、熱で香りが飛ばないように、最後に刻んだフキノトウを投入します。ピクルス、じゃこと合わせたパスタソースもとっても美味。私は保存食として、オイル漬けにしています。

「食べ旅」は、実際に自然の中に入って、自らの手でいのちをとり、処理して、おいしくいただくので、いのちと自然のつながりが腑に落ちやすいものだろうと思っています。お店で料理を食べることでは得られない納得感があるのではないでしょうか。

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視点を変えて発見できるいのち

食べ旅のように自然の中に赴けないときにでも、普段食べている物を改めて観察し直すと、身近にあるいのちに気がつくことがあります。

季節は秋。

栗がおいしくなる頃です。ぷっくりとした大きな栗は、お正月のきんとん用の甘露煮にしたり、渋皮煮にしたり、秋の夜なべにぴったりの手仕事です。山で採れた山栗は、小ぶりながら甘くて美味しい。こちらは湯がいて半分に切ってスプーンですくって食べるのが一番です。甘くてほくほくでおいしい栗は、じつは種。カプセルに入ったいのちそのものです。

おいしい栗を買ってきたら(拾ってきたら)、一番にすることは、水攻め。とにもかくにも、でも難儀なのは、栗の中にいる通称クリムシ。せっかく買ってきた栗から奴が出てきた瞬間の憎らしさと言ったら! さらにクリムシが入っていた栗はおいしくなくなるのです。

皆さんはよくご存知かもしれませんが、クリムシはクリシギゾウムシというのが本当の名前(命名は人間ですが)。中にいたのはその幼虫。クリシギゾウムシのお母さんが、栗に卵を産みつけたのです。赤ちゃんがごはんに困らないように。敵から身を隠せるようにと図ったいのちをつなぐための戦略です。
母の愛情は、虫も人も同じ・・・

「すべて生きものは、次にいのちをつなげるために生きている」のです。ただ、人にとっては都合が悪い奴なので害虫なのです。そして、クリムシにとっても人は都合悪い奴なので、害獣(命名は私)です。
クリムシは気持ち悪い・・・

確かに同感です。私は、あまり好きにはなれません。それでも、クリムシをひとつのいのちと捉えることで、あの小さな虫の強くカッコよい生き様に驚きと感動を覚えます。今回は、虫の例でしたが、これは虫に限ったことではなくて、動植物、海藻、魚などいのちあるもの全てに言えることです。身近な食べものでも、視点を少し変えると、もっといのちを感じる食卓になるかもしれません。これは、特に子供やお母さんにお伝えしたいことです。

おいしい物を作る、おいしそうに見せる、おいしいにつながるいのちのことを分かりやすく話す。食べものの仕事は、自分さえ枠をつくらなければ、どこまでも広げられそうです。

みなさんも今度は、野山に海にご一緒しませんか? おいしい物といのちをめぐる物語を一緒にさがしましょう。

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蓮池陽子 (はすいけ ようこ))

アウトドアシーンを得意とする料理人兼フードプランナー。ビストロ勤務の後、クッキングスクールでの講師を経て、自然学校のアウトドアフードディレクターになる。人と食の関わりの中から、その背景の自然に面白さを見いだし、 人-食-自然を結ぶをテーマに、ケータリング、雑誌等のフードコーディネート、ワークショップなどで活躍中。
蓮池さんの活動の詳細はこちらAtelier Story

2014年11、12月号

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