機関誌「地球のこども」

環境教育の幅を広げる(2020年までにチェックしたい9つのサスティナブル・トピック)

 

元号が平成から令和に改まり2020年まであと少し。改めてそれぞれの分野でどのような環境の取り組みが行われているのか、注目のサスティナブルなトピックを集めました。
今回は各方面でご活躍の9名の方々から、「今注目しているサスティナブルな取り組み」を紹介していただきました。読者の皆さんの環境活動のアイディアとしてぜひお役立てください。

TOPIC4 科学:女子に送る学校外STEMプログラム

五十嵐 美樹さん(東京大学大学院 STEMee(ステミ―))

日本では、STEM(※)分野に進学する女性の割合が、諸外国と比較して少ない傾向があります。初等教育段階ですでにSTEMに対する意識や意欲の面で、明確な男女差がみられることが分かっています。

※Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学 and Mathematics:数学

このような女子の理系離れは、女性が21世紀の社会を支える労働力であるとの認識が高まっている中、科学技術分野参入の抑制要因として問題視されています。私たちSTEMee(ステミー)では、女子に送る学校外STEMプログラムを開発・実践しています。

ものづくりに興味を持ち始めた女子に送る工学ワークショップの実践

 

例えば、OECD諸国の中でも日本は女性の割合がワースト1位である工学分野について、女子に送る学校外プログラムを開発し実践しました。 環境や性別にかかわらずSTEM分野に触れるきっかけを創造するには、多くの皆様の協力が必要です。

今後も持続的に実践していくために、各ステークホルダーにとって最善の形となるような仕組み作りを模索していきたいと考えています。

STEMee(ステミ―)独自の教材開発


TOPIC5 旅行:バリ島・未来型サスティナブルな「エコホテル」今夏オープン

藤本 亜子さん(一般社団法人 環境パートナーシップ会議)

旅好きの私が注目する「エコホテル」をご紹介します。次世代に残せる未来を創出する人・団体支援をするEarth Companyが今夏オープンするのは、自然と共生した循環型のエコホテル。

場所は、今やソーシャル・イノベーションの世界のハブであるバリ島ウブド。中心街から車で10分ほどの田園風景の中、4,200㎡の土地に6棟のヴィラ(宿泊可能人数33名)、オーガニックレストラン、農園、ショップ、蓮池に浮ぶヨガスタジオ、子どものプレイグランドが誕生します。

ヴィラはアースバッグという建築工法(土を詰めた土嚢袋を積み上げ有刺鉄線で固定した耐久性の高い構造)で、照明は100%太陽光発電。水は雨水を循環させて使用し、排水は濾過して植物を育てます。

「エコ=窮屈」のイメージを越え、心地よく地球に優しい暮らしを体現してくれるEarth Companyのエコホテル。ここで出会う様々なサスティナブルな仕組みや感性は、地球に優しい日々の暮らしや未来型コミュニティーの在り方への新しいヒントとなるでしょう。

アースバッグ建築技法で建設中のヴィラ

田園風景の中のエコホテル


TOPIC6 スポーツ:一人ひとり、ボール、そしてゴール!〜スポーツと環境保全〜

山内 宏志さん(日本サッカー協会 (JFA))

スポーツ界も地球環境への取り組みを行っており、サッカーではJFAがJリーグと共に天然芝ピッチの増設を行い、FIFAはスポーツ団体として初めて国連の気候変動対策プログラムへ参加しています。

一審判員ができることは限られますが、ペットボトルの水を飲み切ったり、国内外の試合後に審判控室のゴミを集めたりしています。今回、私が提案したい3つのキーワードは下記の通りです。

ヒト:一人ひとり
一人ひとりが相手やモノへのリスペクトを忘れず、ゲームや環境に関してリーダーシップを発揮することが重要だと考えます。
モノ:ボール
サッカーで皆がボールに集い、プレーを体験することで、徐々に役割を理解し、ゲームという環境に慣れていくように、環境問題を身近に感じる「きっかけ」が大切だと思います。
コト:ゴール!
ゴールとは「目指すもの」そして「喜び」です。東京2020では、スポーツのみならず、持続可能な環境保全についても語られ、世界がともに目指し、喜び合える環境づくりに繋がればと願っています。

2019年5、6月号

地球のこども2019年5月号

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