ソーシャルメディア(facebookやtwitter)で発信しよう!
- 2014/09/07
- カテゴリー:もうすぐ春がやってくる! 写真で伝えるセンス・オブ・ワンダー, 特集

文/写真:高野 丈(写真家)
国内のSNSユーザは数千万人といわれ、常に様々な情報が発信されています。facebookは日常のスナップから、本格的な作品まで、写真を発表するのによい仕組みです。アップした写真に「いいね!」をたくさんもらえると嬉しいものです。発信したことが「伝わった」「評価された」ことが実感できるからです。瞬時に多くの人に発信できるfacebookは、自分が見つけたセンス・オブ・ワンダーを伝えるのにも好適な手段です。どんな写真を撮り、どう発信したら「いいね!」をたくさんもらえるのでしょうか。
point1 平凡な被写体も旬を捉えることで魅力的に
まず何を撮ればよいか、被写体について考えてみましょう。多くの人と同じ被写体で、同じ撮り方では多くの「いいね!」を獲得するのは難しいでしょう。たとえば花見で盛り上がっている時期に、ソメイヨシノ(サクラ)の写真をアップしても平凡です。いくら撮影の仕方を工夫して美しい作品を撮っても、あまり関心を集めないでしょう。それは多くの人が同じ被写体をアップしているからです。サクラで「いいね!」を集めたいなら、たとえば初咲きを捉えて発表しましょう。旬をいち早く捉えて発信すれば、多くの人の「いいね!」を得られるでしょう。季節と旬を確認することは、自然の移ろいを感じることであり、ほとんどの人にとって魅力的だからです。旬をいち早く捉えるには、ホームフィールドをもって、できるだけ高頻度で継続観察することが大切です。

ソメイヨシノの開花。自分の基準木を決めておくと、年ごとの開花日の違いについても書くことができるので、発信するコンテンツとしての価値が高まる。
point2 珍しい被写体ではなく珍しい視点を
絶滅危惧種を捉えた貴重な写真であれば、多くの「いいね!」を集めるのは当然ですが、常に珍しい生き物を撮影するのは困難です。広く多くの人にセンス・オブ・ワンダーを伝えるには、継続した発信が大切ですから、被写体の珍しさを頼りにすることはできません。美しい羽の野鳥や、かわいい小動物、精悍な猛禽類などは多くの人にウケますが、継続することが難しいのと、センス・オブ・ワンダーを伝えるという趣旨が薄まってしまいます。
見慣れた被写体でも、よく観察することで多くの発見があります。私たちは、ある生き物を観察し、名前を覚え、何回か観察すると「知った」気になりがちですが、本当に知っているのはその生き物のほんの一面に過ぎません。よく観察することで、今まで気づいていなかった形態や生態を発見することができます。また、視点を変えることで被写体の魅力が増したり、見たことのない新鮮なアングルを発見することができます。

サカキの花。咲いたばかりの花が雨で濡れると、半透明に透ける。
ベニヒダタケの幼菌。上から撮影するのではなく、地面に腹ばいになって、キノコに目線を合わせて撮影すると魅力が増す。
point3 身の回りにたくさんあるセンス・オブ・ワンダー
私たちの身の回りには、まだまだ見たことのない生き物がたくさんいます。たとえば粘菌(変形菌)がそうです。落ち葉や切り株、丸太や木柵などを丹念に探すことで、ユニークな形状の子実体を見つけることができます。小さな子実体は、おとぎ話にでも出てきそうなユニークな形状のものが多く、魅力的です。粘菌は生態系の中で、分解者である菌類を捕食してバランスをとる重要な役割を担っている生物です。見る人をユニークな形態で魅了し、センス・オブ・ワンダーの魅力を伝えながら、生物多様性の普及啓発ができる被写体です。粘菌はあまり生き物や自然に関心のない人からも人気が高く、多くの「いいね!」をもらえることでしょう。

モジホコリ類の1種。待ち針がたくさん並んでいるようだし、小人の集団のようにも見えてユニーク。
ほかにもゼリーみたいな半透明の体をしたガの幼虫や、胴のすじが黄色ではなく、青いハチなど、身近な公園などの環境でも意外な生き物がたくさん生息しています。山奥で見つけた珍しい生き物ではなく、皆の身の回りにもいる生き物ということが重要なポイントで、友達は新鮮な驚きとともに「いいね!」してくれることでしょう。

アオスジコハナバチ。胴のすじが鮮やかな空色や藍色をしている美しいハチ。身近に普通に生息する。
アカイラガの幼虫。ゼリー状で、半透明の翡翠色をしており、とても美しい。
point4 重要なのは観ること
「いいね!」してもらえるような被写体を見つけたり、旬を捉えたり、意外な表情を見つけたり、いずれも「観る」ことからです。いい写真を撮るには、鮮明に記録したり、美しく現像するなどの技術も必要ですが、最も大切なのは被写体をよく観察することなのです。ホームフィールドでなるべく高い頻度で継続観察を続けて下さい。
2014年3、4月号
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