機関誌「地球のこども」

考えるっておもしろいかも!?第2回 惹きつけるきっかけをつくる

「好きこそものの上手なれ」ということわざがありますが、これは学びにおいてとても大切なことだと私は考えています。誰でも自分が惹かれるものに対しては、時が経つのを忘れて夢中になれるものです。では、子どもたちの気持ちを学習に惹きつけるきっかけづくりとはどのようなものでしょう。

私はGEMSという科学と数学の体験学習プログラムの普及活動をしています。GEMSの副読本の中に『Once Upon A GEMS Guide – Connecting Young People’s Literature to GEMS』という本があります。これは、童話や絵本など子どもたちが慣れ親しんでいるお話とGEMSプログラムをどのようにつなげるかをまとめた一冊です。例えば、木に住む動物たちについてのプログラム『木のおうち』では、『くまのプーさん』のお話を子どもたちにすることがあります。「木にはいろいろな動物が住んでいる」という知識をただ伝えるのでなく、子どもたちがよく知っているお話を使って説明すると、子どもたちからどんどん意見が出てくるようになります。

ポイントは「一つの学習内容に多方面からアプローチする」ことです。例えば、算数の時間に算数の話しかしないのでは、算数に苦手意識を持っている子は授業に乗りようがないですよね。もう一つのポイントは、「15分に1回は感情が動く山場をつくる」ことです。一般的に、子どもたちの集中が持続するのは15分程度と言われています。雑学でも簡単な作業でも何でもよいのですが、驚き・発見・笑いなど子どもたちの感情が動くような場面をつくると、子どもたちがぐっと学習に惹きつけられるようになります。

私は、子どもたちが自ら学んでいる感覚をもてる学習環境をつくることをとても大切にしています。新しいことにチャレンジしていくとき、新しい発見をしたとき、私たちの心は大好きな物語のページをめくるときのようなわくわく感に満たされます。子どもたちにそのような「わくわくする心」を育てていきたいと思っています。

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GEMS(ジェムズ)は、カリフォルニア大学で開発された子ども対象の科学と数学の体験学習プログラムです。 大人が知識を教えるのではなく、子どもたち自身が実験を企画し、話し合いながら結論を導き出すようにアクティビティが構成されています。
ジャパンGEMSセンター

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鴨川 光(かもがわ ひかる)

1987年茨城県生まれ。ジャパンGEMSセンター研究員。 早稲田大学大学院教育学研究科修了後、2013年6月より現職。子どもの思考力や社会性の発達について研究している。ワークショップやボランティアを通して子どもたちと一緒に成長中。

2014年3、4月号

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