タイ民族に学ぶ、エコツーリズムの意味
- 2013/07/01
- カテゴリー:JICA草の根技術協力事業 ブータン王国ポブジカにおける地域に根ざした持続可能な観光の開発, 事業レポート

【日時】2013年2月3日(日)~2月8日(金)
【開催地】ブータン ポブジカ村
【主催】独立行政法人国際協力機構(JEEF受託)
【協働】王立自然保護協会
事業も半ばを過ぎたというのに、まだ形になるものがなにもできておらず、私たちJEEF事務局では少し焦りを感じ始めていました。そんな中、2月にタイ北部で実施したスタディ・ツアーは、ポブジカの人たちの心に火をつけるには良いきっかけになったようです。
お金儲けではない大切なものは民族の誇り
タイ北部のスタディ・ツアーでポブジカの人たち12名と私たちJEEFスタッフ2名が訪れたのは山岳民族ラフ族と、シャン族の村でした。いずれも5年以上エコツーリズムの受入を行っている村で、接客態度からガイド時のロジの手配まで、勉強になることばかりでした。例えば、ラフ族の村では、洞窟へのハイキングから戻ってくると、村の女性グループが食事の用意をして待っていてくれました。通常の観光旅行では当たり前のことですが、観光業を生業としていなかった山岳民族の人たちが日常生活の片手間として行っていることを考えれば、本当によくやっていると言えます。しかし、今回のスタディ・ツアーでポブジカの人たちにとって最も良い勉強になったのは、どちらの村の人たちも観光客の受入をお金儲けのためにやっているのではないと言いきったことです。シャン族の代表の方は「若い世代がシャン族であることを誇りに感じて欲しい」という趣旨のことをおっしゃいましたが、参加者たちにも心に響いたようで、ある参加者は研修の終わりに「村の貴重なものが失われてきているが、村全体で守っていかなければ」と心強い発言をしてくれました。

ラフ族の村でのホームステイ
ツアー参加により浮かび上がる具体的なイメージ
季節も変わり、4月18日に今年初めての渡航でブータン入りました。通算2回目の選挙の影響で現地入りしてから業務日程を再調整するなど振り回され、ポブジカには28日に到着しました。あいにく、地元の村長さんたちが関わる環境管理委員会を開催することはできませんでしたが、2月タイ北部でのスタディ・ツアー参加者の大半と出会うことができました。スタディ・ツアーの感想を尋ねたところ、「文化や歴史にゆかりのあるものをうまくプロモーションしている」、「シャン族の村とチャンマイのカルチャーショーで同じ踊りを見たが、シャン族の村で見た際には踊りの意味について説明があった」、「ホームステイを行う際、ホストファミリーがオグロヅルビジターセンターで滞在客に挨拶をするなど、マネジメントの必要性を感じた」、「滞在客に対し、食事を一緒にとるなどの行動が必要と感じた」、「ホームステイ関係者などから、4,5名程度を選んで管理・運営を行うことが大切だと感じた」といった意見が出ました。1年前には、「具体的なイメージがわかない」と言っていた人たちですが、村の中で運営体制を敷くことの重要性や、単に伝統舞踊を見せるだけでなく、地域の文化やライフスタイルを見せることの意味を理解し始めているようで、心強く感じられました。

シャン族の村での意見交換
いよいよプロモーション開始!
私の帰国と入れ替わりに、5月に入ってから、ローカルガイド研修、ホームステイ研修と立て続けに実施され、ガイドの候補者は9名、ホームステイ候補世帯は19世帯選定されました。7月にはいよいよ観光客の受入体制も整い、政府観光局と共同でプロモーション活動を始めます。9月と11月にはエイチ・アイ・エス企画でポブジカへのスタディ・ツアーを行いますので、この機会にぜひ、みなさんもお越しください。
文責:田儀耕司(JEEF職員)
2013年10月号
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