機関誌「地球のこども」 Child of the earth

「東京」を活かした 座学と野外講座(東京シニア自然大学) 2013.10.08

JEEFでは首都圏のシニアを対象に、「自然や環境について改めて学んでみたい」「自然をキーワードに仲間を作ってもらいたい」「第二、第三の人生を地域とともに健康で楽しく過ごしてもらいたい」を目的として「東京シニア自然大学」を開校しました。東京での開催のメリットを活かし、自然や環境にかかわる著名人を講師として、座学とフィールドワークが半々となるバランスの良い授業を実施しています。

東京ならではの座学講座

特に好評だったのは「絶滅危惧種アホウドリの保全と再生:37年間の取り組み」でしょう。講師は、東邦大学理学部教授で海鳥研究者の長谷川博氏で、37年間伊豆諸島の鳥島に通い、アホウドリの再生に取り組んできたご苦労と絶滅寸前から再生するまでの貴重なお話を聞くことができました。何故アホウドリは絶滅の危機に瀕したのか(一時は絶滅と言われていました)、なぜアホウドリに魅せられたのか、現在はどんな再生をして、今後どのくらいの時間が必要かなどを大変な情熱を持って話されました。全講師に共通するのは、ご自身の研究に大変な情熱を持っているということです。気が付くと、受講生もその道に精通した気分になっています。しかし集中するとヘトヘトになってしまうという方もいて、講義の中身の濃さがうかがえます。

少年少女気分で野外授業

何よりも、フィールドに出た時の受講生の皆さんの顔が生き生きとしています。植物観察でも昆虫採取でも山登りでもとにかく元気で且つ夢中になります。特に女性の受講者は結束力も固く、元気で活躍し、火おこしや間伐などにも真っ先に手をあげて取り組んでいます。一方で男性陣も負けじとばかりドラム缶ピザ焼きなど、なかなか慣れた手つきで野菜を刻んでいました。

また昆虫や植物などで昔自分たちが遊んだ思い出を講師のお話の合間を縫って話されます。皆さん自然の中で少年少女に戻ったような気持ちになっているのでしょう。

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信州で360度の絶景を楽しむ

1泊2日で合宿も行いました。小諸にある「安藤百福記念 自然体験活動指導者養成センター」を合宿所として、標高2,227mの東篭ノ塔山への登山と池の平湿原を散策しました。

初日は天候が悪く、季節野菜の収穫体験の予定が、トウモロコシやお漬物食べ放題体験となりました。地元の人たちが心を込めて作っていただいたお漬物は大変美味しくいただきました。翌日は、東篭ノ塔山の山頂は一面霧に覆われ、残念ながら360度の絶景は見れませんでした。しかしながら「トレッキング時の危機管理」「トムラウシ山遭難とツアー登山」の講義や「里山を歩く・高尾山」での実践で知識と経験を積んだ受講生は慎重に進みながらも、自分たちで草花などの解説をしながら登山とトレッキングを楽しみ、怪我もなく無事終了いたしました。解散後は温泉に行った人たちもいたとのことで、とことん楽しむことが上手な方ばかりです。

文責:林田悦弘(JEEF職員)

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尽きることのない好奇心に

文:佐々木 進三

人は好奇心を失ったときに、老いを迎える。好奇心旺盛なうちは、まだまだ青年だ。私はあちこちに首を突っ込んでは、旺盛な好奇心を満たしている。会社を定年退職して6年半、それは衰えることを知らない。
この4月に『東京シニア自然大学』に入学して、すでに5ヶ月になる。まさに、この学校は、私の欲求を満たすのに十分な機能を備えていた。講師陣の質は申し分ないし、授業内容も高度だ。さらに、いろいろなアウトドア体験も楽しい。常々思っているのだが、一人では何もできないことが、仲間が大勢いると出来ることがたくさんある。幸い、28名の新たな仲間にも巡り合えたし、事務局の人たちは熱心だ。この人たちとは、この学校に入学しないと決して出会うことがなかったはずだ。そういう意味での邂逅も、また楽しい。

豪華講師陣による名講義

『東京シニア自然大学』の講師陣の豪華さには目を瞠らせるものがある。この先生方に講義を受けることなど、この学校に来なければ決してなかったであろう。『センス・オブ・ワンダー』の上遠恵子氏、『里山歩き・高尾山』の山口章氏、『絶滅アホウドリの保全と再生』の長谷川博氏、『トムラウシ山遭難とツアー登山』の節田重節氏、『日本の火山概論』の荒牧重雄氏等々いずれも名講義だった。

なかでも、私が印象に残ったのは、アホウドリの再生に37年もかけている長谷川博先生の講義だ。私から見たら些細と思えるような研究に一生を捧げる姿勢に感銘を受けた。研究というのはこういうものだ、と深く思った。

ブログ読者と一緒に楽しむ

それにしても、この4月からは毎週の水曜日が楽しみになった。その日に『東京シニア自然大学』の授業があるからだ。私は、授業の内容を、毎回、私のブログ記事に載せている。これが結構評判を呼んでいる。私の精神は、この学校の授業を自分一人だけで楽しむのではなく、私のブログ読者にも一緒に楽しんでもらいたい、という思いが強い。ただ、この学校は来年の3月までである。この学校で出会った仲間と、今後、一緒に何が出来るかを考えながら、これからの授業に臨みたい。

少年少女のシニアたち

文:西村 能里子

お昼休みは女子会、そして垣間見る少年の姿

さっそく申し込み、いよいよ開校式。まだ知らない者同志で、記念写真も緊張気味な表情。でも私たち女性受講者の7人は持参のお昼を一緒に食べ、おしゃべりをしました。その様を一人の方が「女子会」、と。もうこれで、これからの1年がきっと楽しいものになる、と確信できました。
授業はその分野のスペシャリストの方たちが高度な内容を易しくお話してくださり、フィールドワークを併せてとても和やかにすすめられます。新宿御苑での昆虫採集などは、嬉々とした男性受講者の表情に遥か昔(?)の少年の姿を垣間見たり。「キャンプの基礎知識」講座ではピザの生地を捏ねるのに初挑戦の男性たちも、なかなかの仕上がりに相好をくずし大満足でピザを頬張っていました。4ヶ月を経てお互いの顔と名前がようやく一致しつつある今、「東京シニア自然大学」を受講して本当によかった、と思います。

日本列島の素晴らしさ

日々の生活での環境問題などは考えてきましたが、「自然」についての知識は知らないことが一杯あり、なかでも私たちの住むこの日本列島が色々な点で非常に稀有で貴重な自然の宝庫であることを知りました。そんな地域に住んでいることを、たくさんの人に知ってもらいたい、知らせたい、と思います。生きることに疲れたりしても、自然を知ること、その大きさ、限りなさを知れば自分のなかの問題も瑣末なこと、と捉えられることができるような気がします。

しかし、自然は恐ろしくもあり脆くもある、人がきちんと向き合っていくことの大切さも改めて、強く考えさせられています。

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組合委員退任後…これだ!!

新聞で「東京シニア自然大学 第一期受講生募集」の案内を見て「これだっ」と思いました。今年の3月まで生協の組合員活動を推進する役割でいろいろな活動に取り組んでいたのを退任し、4月からは自由に使える時間が大幅に増えるため、それをどう使うかと考えていたときのことでした。

充実したシニア生活をエンジョイ

文:山本 博義

本誌2013年7、8月合併号で 「東京シニア自然大学」 を読まれた方がおられるかと思います(19頁)。私は、その受講生の一人です。

事前説明会と開校式そして回を重ねるごとに、各講座の講師の方々はそれぞれ第一線で活躍された凄い方であること、また、受講者の皆さんも植物や昆虫などに実に詳しい方が沢山おられることなど驚くことばかりで、技師だった私には周りの方全員が先生です。

ここで得たことを中高時代の同級生(イネ害虫であるニカメイガの性フェロモンを研究した生物学者)に話し、思わぬ旧交を温めることができています。さらに、この友人が何人かの講師の先生と知己でありメール交換をして、交流の輪が拡がっていることも思わぬ収穫です。

毎週水曜日が楽しみに♪

この頃は毎週水曜日のシニア自然大学を心待ちにするようになり、休講の週は何となく空虚に感じるようになっています。今まで、私は真空ポンプだの半導体だのにしか視点を置かず、近所を歩いても草木や鳥、昆虫になどに目をやること無く通り過ぎていましたが、最近は目を閉じて鳥やセミなどの声に聴き耳を立て、小さな虫の命を労わるようになりました。 7月18日の葛西臨海水族館では、中学以来ではないかと思われる魚のスケッチ(観察)をしました。これもとても新鮮な思い出になっています。

鞄の中身はシニア自然大学

私は今のところ毎回空のカバンを持って家を出て、講義内容をカバンに詰めて帰宅するという状況です。皆さん方と近しくお付合いができるにつれて、講座の後の一献もまた楽しみです。これからの残り半年の間に、多少とも中身のあるカバンを持って講義に臨み、自分の持ち物を皆さんに出すことができたら良いなあ、と思っています。

kikkake

モノづくりの世界に生き定年退職2年。さてこれから…

去る3月7日、私の妻が朝日新聞夕刊を見ていて、「これ面白そうだから行ってみたら」と言ってくれたのが、シニア自然大学を受講させていただくことになったきっかけです。機械工学出身で、モノづくりの世界に生きてきた私が定年退職して約2年、「さあ、これから何をしようか?」と思っていた時に、この受講生募集は渡りに舟でした。申込書を送る時に、とっくに定員オーバで良くてキャンセル待ちだろうと思っていたところ、運よくまだ余裕があったようで入校することができました。

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