8月21日、22日の2日間、鹿児島県の重富海岸で「ユニバーサルビーチプロジェクト」が開催されました。
障がいのある人もない人も、一緒に海を楽しむこの活動。JEEFの参画は2年目ですが、活動は今年で4年目を迎えます。
(主催:NPO法人 くすの木自然館)

砂浜は、車いすにとって大きなハードルです。タイヤが砂に埋まってしまうため、海のすぐそばまで行くことも簡単ではありません。
そこでユニバーサルビーチでは、砂浜を移動できる専用のマットや車いす、海に浮かぶための道具などを使います。
特別な道具や準備のことは、昨年のレポートをご覧ください。
でも、大切なのは「特別な道具があること」だけではありません。
一人ひとりの状態は違うので、その人に合った楽しみ方も違います。「海で遊びたい」という気持ちを出発点に、どうしたら一緒に楽しめるのかを考える。それが、この活動の大切にしていることです。

「危ないから」ではなく、「どうすれば楽しめるか」
今回もさまざまな方が、ユニバーサルビーチを体験しました。義足の小学生とそのお友達、水遊びが大好きな中学生、車いすの男性などが参加されました。
自分の力でバランスを取ることが難しい男性はサポーターに支えられたり、道具を使ったりしながら、プカプカ気持ちよさそうに浮いていました。


参加者を迎える前には、事前に一人ひとりの状態を聞き取り、当日のサポーターにも細かく共有します。
使う道具や遊び方も、まずはスタッフやサポーター自身が試して確認します。
道具の形や空気の入れ具合を調整したり、ときには自分たちで必要なものをつくったり。
安全に、そして思いきり楽しむための工夫が、あちこちに詰まっています。


「障がいのある人が海に入るのだから、特別に慎重にならなければ」と、私も思っていました。
でも、体調や体力、得意なことや苦手なことも、一人ひとり違います。
その人にどんなリスクがあるのかを知り、どうすれば安全に楽しめるのかを考えてリスクを把握し、マネジメントするという基本は、障がいがあってもなくても同じなのです。
「また来年」は、当たり前ではない
楽しい時間が終わると、私たちは何気なく「また来年!」と言います。その言葉が強く心に残るのが、この活動です。
来年も同じように海に来られることは、誰にとっても約束されているわけではありません。
特に、病気や障がいとともに暮らす参加者の中には、その1年がとても大きな意味を持つ人もいます。
だからこそ、今年の夏を一緒に楽しみ、そして来年も同じ場所で海を楽しめるように活動を続けていくことが大切なのだと思います。
「また来年」という何気ない言葉に、今年は改めて重みを感じました。

今年は行けないけど、来年行くね
くすの木自然館のスタッフから、こんな話を聞きました。
参加者から「今年は行けないけど、来年は行くね」と返事をもらったそうです。
一見すると何気ない言葉ですし、「今年は来られないのかあ」と残念に思ってしまいそうですが、スタッフの皆さんにとっては、とてもうれしい変化なのだそうです。
重富海岸でユニバーサルビーチが開催され始めたときは、障がいがあっても海を楽しめる「特別な機会」だったかもしれません。
しかし4年間続けるなかで、特別だったものが少しずつ当たり前の選択肢になっていくことも、続けてきたからこそ生まれた成果なのだと思います。

続いていること、それ自体が価値になる
重富海岸は、霧島錦江湾国立公園内にある、国立公園初のユニバーサルビーチです。
活動の成果を伝えるとき、私たちはつい「何人が参加したか」「何回実施したか」という数字を使います。もちろん、それも大切な成果です。
でも、この活動には数字だけでは測れないものがあります。
「また来年」と約束できること。
「今年は行けないけど、来年行こう」と思えるようになったこと。
そして、来年もそこにあると信じられる場所があること。
続けることで、特別だった体験が、誰かの日常の選択肢になっています。それは、4年間という時間を積み重ねてきたからこそ生まれた変化です。
来年も、重富の海でお会いできることが楽しみです。

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