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【レポート】海洋プラスチック スタディーツアーin対馬② 2025.11.05

横浜市における海洋プラスチック環境教育プログラム」をご支援いただいているジョンソン株式会社の皆さまと共に、対馬で2泊3日の海洋プラスチック体験ツアーを行いました。

対馬は、日本で最も海洋プラスチックごみが流れつく島と言われますが、実際に行ってみると想像していたよりもはるかにすごい光景が広がっていました。3日間の様子をダイジェストでお届けします。

2日目

今回宿泊したのは、対馬北部の比田勝(ひたかつ)というエリア。
ホテルの前の海から昇る太陽とともに2日目のスタートです!

 

漁業者×来島者による海岸清掃

午前中は、対馬西部の伊奈地域の漁協さん協力のもと、船でしか行けない浜の海岸清掃を行いました。

海岸ごみが多い対馬では、市が委託して各地域の漁業者が海洋ごみの回収を行っているのですが、人口減や高齢化が進む中で人手が足りなくなっているとのこと。

そこで今回初めて、島の漁業者と島外からのスタディーツアー参加者がタッグを組んでの海岸清掃を実施することになりました。

 

スタディーツアー参加者からすれば、なかなか行けない現場を訪れることができ、回収したごみも引き取ってくださるので、ライトに環境学習と地域貢献をすることができる。
漁業者からすると、人手が確保されて浜がきれいになるだけでなく、アテンド料金までもらえる。さらに、対馬市からすると島の課題が改善されて観光振興にもなるという、三方良しの企画です。

ということで、船に乗って、いざ浜へ!
写真中央は、今回のツアーに帯同してくださった対馬市SDGs推進本部の前田剛さん。行政の立場からの視点も踏まえて、海洋プラスチック問題について教えてくださいました。

 

到着した浜は、おびただしいごみの量。
写真奥に見える黒い大きな袋は「トン袋」と呼ばれ、高さ130cmほどの円筒形をしています。対馬の海岸清掃は家庭用ごみ袋では到底追いつかないため、この巨大な袋を使います。

 

取っても取ってもごみが減らない感覚。


大きなごみをどかすと、石の隙間に発泡スチロールの欠片が入り込んでいます。下の写真の中で、どこに発泡スチロールがあるかわかりますか?

 

正解はこちら。これが浜全体に広がっています。

 

満タンになったトン袋は船で運び出します。
今回船を出してくださったのは、対馬で3代にわたって定置網漁を営む豊田水産合同会社さん。袋を運んでくださっているインドネシア人の技能実習生の方が、ごみの中からインドネシアで販売されているペットボトルを発見して驚いていました。

 

約1時間の海岸清掃で、トン袋25個というものすごい量のごみを回収することができました!

 

体を動かした後のご飯はおいしい!海ごみさえなければ、本当にきれいな海なんです。

海洋プラスチックの処理工程とは?

午後からは、対馬クリーンセンター中部中継所へ。
こちらでは、回収された海洋プラスチックを分別・処理して、リサイクルに回せるものと最終処理場に回すものを仕分けています。

 

例えば、こちらは発泡スチロールの処理場。電動カッターで表面の汚れを取り除くほか、複数の素材が混ざっていないかをチェックしています。
プラスチックは単一素材でないとうまくリサイクルができないのですが、海外製のものは中に混ぜ物がしてあることもあったり、海を漂っている間に海水が入り込んだりしてリサイクルに回せないものもあるそうです。

 

こちらは破砕されたプラスチック。色や素材ごとに分けることで、リサイクルしやすくしています。

 

発泡スチロールを熱で圧着して素材として企業に販売するための機械も見せていただきました。が、左側が新品の発泡スチロールからつくられたもの、右側が海から回収された発泡スチロールで作られたもの。明らかに品質が違います。

国境の島

2日目の最後は韓国展望台へ。その名の通り、対岸の釜山が見える展望台です。

対馬と韓国は、一番近いところで約50km。それだけ近いので、古来から韓国との交易が盛んでした。しかし、今ではプラスチックごみも韓国から対馬に押し寄せます。

当然、日本から出たプラスチックごみがほかの国の海を汚しています。各国が良き隣人であり続けるために、手を取り合って問題に取り組んでいきたいですね。

 

意外と珍しいJEEF職員の3ショット。
ちなみにこの日着ているお揃いのTシャツは、回収されたペットボトル繊維から作られたものです。

 

>>3日目のレポートに続く

※このプログラムは、ジョンソン株式会社からの寄付金によって支援されています。

文責:鴨川光

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