本格的な夏を迎え、今年も各地で最高気温35℃以上の「猛暑日」が観測されるようになってきています。夏が暑いのは当たり前ですが、地球温暖化の影響で、猛烈な暑さになることが増えています。
そもそも日本の夏の暑さは、南海上の暖かい空気を持つ「太平洋高気圧」が日本付近に張り出してくることでもたらされます(図1)。
図1: 暑くなりやすい夏の気圧配置『もっとすごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)
さらに、チベット高原の上空でできる「チベット高気圧」が日本付近まで勢力を拡大してくると、高気圧の下降気流で空気が温まり、晴れやすく、猛暑になることがあります。また、山を越えた空気が風下側に吹き降りると、「フェーン現象」によってより高温になるのです。これらは、温暖化していない地球であっても起こることです。しかし、温暖化が進行している現在では、例えば8月の平均気温は100年あたり1.14℃のペースで上昇しており、夏の平均気温自体がすでに高くなっています(図2)。そこに暑くなる条件が上乗せされると、一層気温が高くなり危険な暑さになることもあるのです。
図2: 日本の8月平均気温偏差(気象庁ウェブサイト)
地球温暖化に伴って、現在の地球の気温は過去1400年間で最も暖かくなっています。将来のために対策を講じる必要がありますが、事態はすぐに解決するわけではなく、私たちはこの暑さにも適応していく必要があります。
この暑さにより、近年では熱中症で救急搬送される人も増加しており、特に65歳以上の高齢者の割合が増える傾向にあります(図3)。熱中症を予防するためには、気温だけでなく「暑さ指数(WBGT)」にも配慮することが重要です。
図3: 熱中症はどれくらいおこっているのか(環境省『熱中症環境保健マニュアル2022』)
図4: 暑さ指数と注意すべきこと一覧 出典:防災アクションガイド
暑さ指数(図4)は、気温、日射・輻射熱、湿度を取り入れて計算された指標です。輻射熱とは、地面や建物からの熱のことで、例えば子どもは大人よりも身長が低いため、地面からの輻射熱の影響を大きく受けます。また、汗は乾くときに皮膚から熱を奪って体を冷却する効果がありますが、湿度の高い日は汗が乾きにくく冷却の効果が小さいため、体に熱がこもり熱中症にかかりやすいのです。
熱中症を予防するために、暑さ指数の実況と予測が環境省の『熱中症予防情報サイト』などで見られます。また、熱中症の危険性が極めて高くなると予測されたときには、「熱中症警戒アラート」が発表されます。このような情報を上手に使って、暑さ指数が高い日は、通気性のよい服を着る、日傘や帽子を利用する、家の中では適切にエアコンを使用するなどの対策を取りましょう。特に、熱中症リスクが高い高齢者や子どもたちには、こまめな水分補給や塩分補給、休憩をさせるなど声をかけて、熱中症にかからないようにしましょう。
参考文献・ウェブサイト
『もっとすごすぎる天気の図鑑』 (荒木健太郎/KADOKAWA)>>Amazonでみる |