会員ページ Member Only

環境教育の原点ー国際交流(5) 2023.02.15

環境教育のこれからを考えると、国際交流、国際協力が不可欠だと思います。地球温暖化の場合、世界のみんなが協力しなければ意味がありません。各国が協力しあって努力してもどこかの国が協力しなければ温暖化防止は進みません。いわば地球市民的な考え方が世界に広まらなければいけません。

しかし、世界はまだ分断されているし、理解不足がいたるところにあります。環境教育を進めるための基礎に、この国際理解が必要です。そのまた基本に環境思想があります。これらの基礎事項をしっかりと踏まえ、その上で具体的な事業を進めることが求められるでしょう。

自然に親しもう、野外に出よう、と皆さんに勧めるとしても、この基本がわかっていなければいつの間にか商業主義に染まり、本来の意味を見失いがちです。何かをしているときに、いつも戻っていかれる原点のようなものが必要です。環境教育のような成果が見えにくい事業の場合はなおさらです。時に、自分の考え方に酔って独りよがりの環境論を振りかざす方がいますが、それでは誰もついてきません。私も含めて環境教育に携わる人間はこの点を常に確認する必要があります。

商業主義と言いましたが、良い意味でのビジネスは必要です。環境破壊的なビジネスモデルはもう通用しなくなっています。SDGsが企業に広まっています。これからのビジネスは、規模の大小を問わずワールドワイドであり、環境改善型でなければ成功できないでしょう。

ビジネスを成功させるにも基本事項がしっかりしていないと長続きしません。スティーブ・ジョブズ、松下幸之助、稲盛和夫などなど古今東西の立派な経営者はみな「世の中で困っていることを正すことが商いの原点だ」と指摘しています。今、地球上で困っていることの主要事項がSDGsに含まれています。大雑把に言うと、SDGs のどれか一つでも貢献できれば世の中の改善につながり、ビジネスが成り立つでしょう。環境経営の推進も環境教育の重要な事項です。

JEEFの仲間が行っている「こどもたちのアジア連合」。北東アジア6か国の子どもたちが毎年集まってキャンプを行う事業を17年続けている。子どもたちはお互いに自国語を勝手に話し、それで通じているという。

話を戻して、国際協力ですが、NPO/NGOも含めて環境教育の事業者はどんな形でも良いから国際化を図るべきでしょう。地球市民的発想を広めていきたいですね。小さなことでもいいから、国も企業も市民活動も、今よりさらに国際的な事業を広めてほしいと思います。

岡島 成行(おかじま しげゆき)

1944年1月、横浜市で生まれ。高校、大学とも山岳部。アンデス、ヒマラヤに挑戦するなど15歳から25歳は山にだけ集中した日々。卒業後、読売新聞記者、大妻女子大学を経て2014年より青森山田学園理事長。この間、日本環境教育フォーラム、環境教育学会、自然体験活動推進協議会などの設立に携わる。

JEEFメールマガジン「身近メール」

JEEFに関するお知らせやイベント情報、
JEEF会員などからの環境教育に関する情報を
お届けします。

オフィシャルSNSアカウント

JEEFではFacebook、Twitterでも
情報発信を行っています。
ぜひフォローをお願い致します!