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ようこそ、ちえの木の実へ!(4) 2022.07.26

この季節にはこの絵本を。

こんにちは。ちえの木の実です。

短い梅雨が明け、夏の入り口はすっきりしないお天気続き。セミたちが、空の様子をうかがいながら鳴いたり、やんだり、また鳴いたり・・・を繰り返しているようです。

ちえの木の実の本棚に並んでいたカエルやカタツムリの絵本は、ほんの少し肩身が狭そうでした。私が小さい頃には、都会でももっと出会えたのに。今年はカエルもカタツムリも、道ばたで見つけることはありませんでした。せめて絵本の中で出会えたら、と思ってはりきって集めていました。

絵本の中で出会った虫や花の本当の姿を見たくなる。道ばたで拾った石ころの名前を調べたくなる。夏の絵本の中にくっきりと描かれていたあの雲を、暑い暑いと見上げた空に見つけたときのなんとも言えない喜び。

花火の音を聞いて、あの絵本の中で打ち上げられていた花火はこんな音だったのかなと、ふと思い出す瞬間。どれもこれも、絵本といつもの生活がぐっと近づいて、結びついた嬉しい瞬間です。たくさんの絵本を開けば開くほど訪れる発見やときめきは、大人になっても味わいたい大切なものですね。

7月の本棚は…

夏といえば、プール、海、スイカ、カブトムシ、花火、お祭り、そしてそして・・・。明るく賑やかなイメージがぱっと頭に浮かびます。好奇心をくすぐるような絵本も、たくさんあります。

だからよけいに、静かな絵本を開きたくなるときがあるかもしれません。エネルギッシュに動いた日の夜は、絵本から聞こえてくる音に耳を澄ませたくなることも。ページに心を委ねながら、じっくりと読める絵本をご紹介したいと思います。

 

『なみ』

お母さんと海にやってきた女の子が、裸足になって、波に向かって駆けてゆきます。 なんだろう、ちょっとなによ~、こんなかんじかな、もういいよ~、えいっ、波と戯れる女の子の声が今にも聞こえてきそうな絵本。

文字はなく、表情豊かな波に果敢に挑む女の子が、ただただ眩しく描かれています。ザブーンとか、ザザーとか、そんなありきたりな表現はひとつも当てはまらない、まるで生きているような波としぶき。

そのうち、空と海が一体になって、海からの贈り物を届けてくれます。何度読んでも、いつ読んでも気持ちよくて、いつの間にか笑顔がこぼれてしまう絵本です。

 

『HOME』

たくさんあそんで、歩き疲れて帰った日に、そっと開きたくなる絵本が『HOME』です。なにより、絵本の見返しに描かれた「扉」が、やさしく招いてくれているかのよう。

いいことがあった日も、誰かとケンカしてしまった日も、悲しいニュースが飛び込んできた日も、小さな扉の先にある、灯りのついたあたたかい部屋が待っているような気がするのです。

屋根に更に小さな家が乗っかった不思議な家、どこもかしこも本で溢れた家、ひと目ひと目丁寧に編まれた毛糸の家。

どの家にも物語があり、その家に訪れる人や住人のことを想像し始めたらとまらない家ばかりです。ぜひ、心の扉を開けて、それぞれの家の物語に耳を傾けてみてください。

「今日の気分に合わせて読みたい絵本」など、いつでもスタッフにお声かけくださいね。ちえの木の実の本棚で出番を待っている絵本が、まだまだたくさんありそうです。それでは、よい夏を!

武本 佳奈絵(たけもと かなえ)

ちえの木の実スタッフ。アメリカの大学にてカウンセリング心理学専攻。都内児童書専門店、出版社などにて勤務後、2020年2月にちえの木の実に入社。絵本・児童書の翻訳なども手がける。2児(高校生、中学生)の母。

ちえの木の実ホームページ ▶https://www.chienokinomi-books.jp/

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