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風車の国のミュージアムめぐり(4)古代~中世へタイムスリップ 2022.07.15

昔のオランダと聞くと、風車の並ぶ中、民族衣装を着てチーズを作って…というイメージが浮かぶかもしれません。ですが更に昔、この土地はローマ帝国であり、有史以前は石器時代の生活がありました。

今回ご紹介する「Archeon(アルヘオン)」は主に3つの時代で、この地に住んでいた人々の家や暮らしぶり、生業、文化を体験できる野外ミュージアムです。

先史時代

先史時代は紀元前8,800年~紀元前12年まで。いわゆる石器~鉄器時代です。石器時代の家では火おこしや狩猟生活に欠かせない道具が並び、毛皮を着た人物がたき火を囲みながら当時の生活を物語ります。またオランダでは現在知られている世界最古の丸木船が出土しており、再現した丸木舟に乗ることもできます。

  

草木で作られた家の中

ローマ時代

ローマ時代は紀元前12年~406年まで。ローマ式の浴場やハーブ園、また神殿や闘技場など現在のオランダでは見ることのできない様々な文化がこの地にもあったことを実感します。ここでは馬の足音に振り向くと、剣闘士たちが武器を手に行き交っていました。

中世

中世は406年~1,500年まで。14世紀の様々な職業の建物が並ぶ街角を歩くと、まるでロールプレイングゲームの世界をさまよっているようです。糸ぐるまが回り、機織りが音を立てる薄暗い中、綿花から糸を紡いだり。熱気が立ち込める鍛冶屋に、様々な盾や槍が並ぶ武器屋。

  

生活道具を作る工房(左)と、ヘルメットや槍などが並ぶ武器屋(右)

その横では、弓矢や剣の指南が行われています。養蜂小屋では蜜蝋のロウソクを作るほか、漁網やかごなどを作っているところも。建物を出ると、楽器を持った人々が音楽を奏でていました。

音楽を奏でる人々

インタープリターが活躍

さて気づかれたかもしれませんが、ここの素敵なところは「人」も展示の一部であること。当時の服装をしたArcheo-interpreter(考古学インタープリター)と呼ばれる人々がたくさんいて、タイムスリップをしたかのような空間の中、民具の使い方や生活の様子を説明したり、一緒に体験をさせてくれるのです。

ですが解説員という佇まいではなく、完全に当時の生活をしている人々がそこにいて、話しかけると答えてくれるという雰囲気。当時の人々の息づかいがすぐそこに聞こえてくるような、不思議な感覚に浸かりながら、一日楽しめるミュージアムです。

養蜂小屋の女性に「掃除を手伝ってくれる?」と言われ、一緒にほうきを持つ女の子

福成 海央(ふくなり みお)

科学コミュニケーター。環境教育と科学技術、2つのミュージアム勤務を経て2016年よりオランダ在住。日本語でのサイエンスワークショップ開催や、オランダに関する情報発信、執筆等を行っている。小6、小3、小1の3児の母。

SciNethホームページ ▶https://www.scineth.com/

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