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小笠原の不思議(1)~自然の魔法~ 2022.04.15

小笠原を訪れたきっかけは、知り合いが見せてくれた1枚の写真でした。
そこには、白くて長いサンゴの骨格がいくつも重った砂浜が広がっていました。
伊豆諸島と似ている島だと思っていたので、サンゴがあることが不思議になり、仕事に区切りをつけて旅立ちました。

おがさわら丸の航海ルート

おがさわら丸の航海ルート 東京の竹芝を出港し、南へ約1000キロ。伊豆七島の島々を通過して、日が落ちる頃には八丈島付近を航行、そこからは夜の大海原へ。本を読んでいましたが気がつくと寝ていました。早く寝たので翌日には日の出が見られました。太陽と水平線しか見えない世界が続き、進行方向に小笠原諸島の北の端が見えたのは朝8時すぎ。突然岩がぽつんと頭を出し、そこから島々が続いていきました。深い海の青とそこから何の前触れもなく顔を出す陸の緑が印象的でした。

 

兄島瀬戸

船が到着するのは、小笠原で唯一の大きな湾、二見港。船が進むと砂浜が見えてきました。船を降りたあとは、ダイビングで水中を探検することにしました。 海の中は浅瀬が少しだけ。ある程度緩やかに深くなるかと思うと、一気に崖のように深場へ続いています。透明度が高く、50m下が見えるくらい。水中を移動すると、まるで空を飛んでいるかのような錯覚になりました。周りにはサンゴが100m以上も続いています。それも、スギノキミドリイシと言う枝サンゴが1種類だけ。さまざまな種類のサンゴが色鮮やかに広がる沖縄のサンゴ礁と様子が全く違うことに衝撃を受けました。

製氷海岸のスギノキミドリイシ

水深15mほど降りていくと、今度は、ナガレハナサンゴだけが白いじゅうたんを敷き詰めたかのように広がっています。はっきりと住み分けがされている様子。あまりにも不思議な光景だったので境界線ぞいに泳いでみました。境界線は水深15mのラインを多少上下するくらいで、どちらかが張り出すことはありませんでした。

製氷海岸のナガレハナサンゴ

陸上に上がった後、極端に違う水中風景が頭から離れませんでした。まるで水中の景色を見て魔法にかかってしまったみたいに。その後、ご縁があり定住することになり、島の生活は今年で22年目になりました。まだまだ不思議はいっぱいあります。(次回へ続く)

 手塚幸恵(てづかさちえ)

 企業勤務後、国内外のスクーバダイビングの講習やツアーを担当。小笠原ビジターセンターで働いたことがきっかけで、国内外で施設展示や解説方法を学び、生物園やビジターセンター、世界遺産センターで飼育や解説に携わる。仕事の傍ら、子どもを対象に自然観察会や実験教室、星空教室を運営。現在会社役員。小笠原に在住22年目。

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