20年前、私たちがエコツアーふくみみを開業したころは、まだ「エコツアー」という言葉は浸透していませんでした。「エコツアーを始めます」と言っても理解されず、「海でサンゴや魚を見せるようなガイドをします」と言っても、地域の人には「見せるだけじゃ誰もお金払わないはずよ。自分で見ればいいのだから」と言われてしまうこともしばしば。
子どもを3人育てあげることで仕事として成り立っていることを証明し、エコツアーの見本となるような仕事をしようと奮闘してきたつもりです。とりあえずは10年がんばろう。あともう10年このスタイルを続けてみよう。そして20年が経ちました。
儲かるようなやり方ではありませんでしたが、リピーターの方たちに支えられ質の高いプログラムを提供し続けてきた自負はあります。ただし参加者のターゲットをかなりしぼってしまったので、うちのツアーへは絶対に参加しないような客層にはエコツアーを通してのメッセージを届けることができません。その点は同業者団体「石垣島アウトフィッターユニオン」を立ち上げ、石垣島のネイチャーガイド全体の質を上げていくことで、より多くの観光客が石垣島での観光旅行を通して環境意識を高めることを今も目指しています。
そしてコロナ禍で始めたぬいぐるみエコツアー。
予期せず開いてしまった扉の向こうは、ぬい主さんたちの部屋でした。その全貌はまだよくわかりません。そこにはこれまでの私たちとは接点が全くなかった方たちがいらっしゃいました。沖縄や自然、場合によっては旅行ともそれほど縁がない方も多いかもしれません。そんなぬい主さんたちにぬいぐるみを通してふくみみのエコツアーを体験してもらっているのです。
まだまだできることはある。気が付いていない世界はきっと無数にある。思い込みを捨て、どんなことにも関心を示す柔軟性を忘れずに、もうあと10年はがんばってみよう。ぬいぐるみたちがそんなことを思わせてくれました。
そして、もうひとつ私にはインタープリターとして成し遂げたいことがあったのです。どうぞ1月29日放送のNHK「ブラタモリ竹富島編」をご覧ください。(次回へ続く)