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石垣島発ふくみみ的観光(3)20周年はコロナ禍で 2021.12.15

ある日到着した彼は大きな頭部に比べ小さな身体。ディフォルメされたイケメン。こんなぬいぐるみがあるのだなーとか気にせず実施していました。そのときは…。

そして2020年の夏が終わるころ、ぬいぐるみがやってくるペースが急に上がり待機部屋は数えきれないほどのぬいぐるみであふれるようになりました。待っているのは先のイケメンくんの系列や、侍や幕末の志士や天使や悪魔や神々や、小さな俵型の子(のちにもちもちマスコットと呼ばれていることが判明)、手足が自由自在に動く様々な色の猫(のちにプリンスキャットと判明。通称プリキャ)などなど。

もちもちマスコット

プリンスキャット

いったい何が起こっているのか、SNSのエゴサーチでようやくわかりました。

・比較的若い女性の多くは推しのキャラクターのぬいぐるみを持っている

・ぬいぐるみは「ぬい」と呼ばれ、その持ち主を「ぬい主」という

・ぬいはアニメやゲームのキャラクターが多い、実在のアイドルもいる

・多くのぬいはぬい主による手作りの洋服やアクセサリーをまとっている

そのような世界があることを知らない私たちが始めたぬいぐるみエコツアーに、ぬい主たちのうち勇気あるファーストペンギンさんがイケメンくんを送り込み、その旅の記録をSNSに上げ、それまで様子を見ていた多くのぬい主たちが一斉に我が子を旅に出し始めたということだったのです。

ファーストペンギン

やがてみんな同じ顔にみえていたものが見分けられるようになり、写真の技術もどんどん上達し、そして異世界人に思えていたぬい主さんたちの世界に徐々に寄り添えるようになっていきました。エコツアーの写真を送るとぬい主はすぐさまSNSに投稿します。

「コロナで旅行に行けない私の代わりにわたしのぬいが旅をしている。涙が出た」

「やばい~~~仕事のストレスが消えていく~」

「写真見てると元気がドバドバ出る。明日もがんばるぞい!」

修学旅行※数人が石垣島で合流しまとめて実施

そう、私たちはそれまでエコツアーに関心のなかった層への扉を予期せず開いてしまったことにやっと気づいたのです。(次回へ続く)

 

 

大堀 健司(おおほり けんじ)

東京生まれ。琉球大学理学研究科卒。地質コンサルタントを経て2001年石垣島でエコツアーふくみみ開業。主な仕事は持続可能な観光とサンゴ礁保全などの環境教育。インタープリティブデザインも少々。火山大好き。オートバイ大好き。写真も大好き。

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