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オランダ小学校リアルレポート!(2)ところ変われば、科目も変わる 2021.11.15

理科と社会がないぞ。

前回、必須科目以外は学校が自由にカリキュラムを決められるとご紹介しました。私の子どもが通う小学校はわりと日本の学校に近い学習内容ですが、理科・社会という科目がありません。代わりに「ワールドオリエンテーション」という大きな科目があり、その中に自然、生物、技術、歴史、地理といった学習内容があります。

ワールドオリエンテーションには「私」と「世界のつながり」という視点で、こどもたちの世界を広げる様々な科目が含まれていて、何を学ぶかはこれも学校によりけりです。面白いのが科目の枠を越えながら学ぶこともあること。例えば、オランダの家をテーマとして、オランダの冬は寒い(気象)/寒い家を暖かく保つ為の工夫、現在の二重窓や断熱材など(技術・歴史)/なぜ二重窓にすると暖かいのか(物理)というように、一つのテーマを元に様々な分野の学びに横断的に触れる事がよくあります。

小学4年生程度のクラスで使ったワールドオリエンテーションの教材。「水」というテーマの中には、魚の生態、潜水艦のしくみ、ものの浮き沈みというように、生物から物理まで様々な分野の学びが含まれる。

そういえば、家庭科もない。

ふと気づいたのが、家庭科もありません。でも突然子どもから「今日学校でスープ作ったよ!」と言われることがあります。聞けば、テーマ学習などの中で調理をすることが時々あるのです。例えば植物の成長を学ぶ中で、学校菜園で野菜つくりを行い、収穫物を使ったサラダやスープを作ったり。季節の行事を学ぶテーマで、伝統行事に欠かせない特別なクッキーを作ったり。この時も単に調理だけでなく、香料や味の体験を通じて、人の感覚についての学びも一緒におこなっていました。

ですが裁縫については、学校でやったという話をまだ聞いたことがありません。そういえばオランダの中学生は自分でボタン付けができない子も多いとか。そう思うと、料理や裁縫、家庭生活全般に必要なスキルを学び、楽譜を読み楽器も弾けて、毛筆もできる日本の小学生は、とんでもないハイスペックなのでは・・と改めて思いました。詰め込みすぎなのかもしれませんが、そういった視点での生活力をどこの学校でも養える、そんな日本の教育課程も素晴らしいものだと思います。

シンタクラース(サンタクロースの原型になったと言われる伝統行事)時季に欠かせない特別なクッキーを教室で作る様子。

福成 海央(ふくなり みお)

科学コミュニケーター。環境教育関連施設・科学館勤務を経て、2016年よりオランダ在住。現地で日本語でのサイエンスワークショップを開催する他、オランダに関する情報発信、執筆等を行っている。小5、小2、年長の3児の母。

SciNethホームページ ▶http://scineth.com/ws/

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