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生ごみが世界を変える?!生ごみ資源化100%への道(5) 2021.08.16

前回は、半径2km圏内で栄養を循環させる「LFC」の仕組みを見ました。このLFCの仕組みが福岡地区にもう2ヶ所あります。

まずは福岡市東区にある「美和台地区」を見ていきましょう。ここは2019年福岡市の統計では65歳以上の割合が27%を超える超高齢化地区で、地形的には坂道の多い街です。車やバスでの移動が便利なため、高齢になって車を手放すと移動が難しく、家に引きこもってしまう方も少なくありません。
美和台地区内の地域活動は活発で、住民同士の交流は多いですが、住民や見守りボランティアの高齢化は避けられない課題でした。2018年からじゅんなま研と美和台地区が手を組み、地域の高齢者を見守りと環境保全の二つの課題を同時に解決するLFCの仕組み(以下「美和台LFC」)が出来上がりました。

美和台LFCでは週に1回高齢者の自宅を巡回し、コンポストの様子を見て会話をします。各家庭にダンボールコンポストを設置していて、巡回時に状態の改善や基材・箱等の交換を行います。スコップで全体を混ぜることが体力的に難しい方も多く、また、コンポストのおかげで生ごみがゴミとして出ないのでゴミ出しの負担も軽減されます。高齢者でなくてもコンポストの継続にサポートが必要な方は月1回コース、月2回コースで会員になることができます。

私自身、週に1回巡回をしているのですが、美和台LFCは「見守っている感」がないことが魅力の一つだと感じます。
ピンポンを押してインターフォンに出ると「コンポストを見に来ました〜」と言い、庭でせっせとコンポストをかき混ぜて「今日めちゃくちゃ暑いですね、ご自宅はエアコンつけましたか?」とたわいもない会話をします。
巡回に回るクルーはコンポストに入る生ごみの種類や量によって高齢者の生活の変化を感じることができ、頻繁にお会いして関係を築くことで体の状態や生活について詳しく聞くことができます。
もし留守が続いたり、体調が悪い状態が続いたりする時は地域の民生委員に情報を共有して、地域全体で見守りをする仕組みになっています。
私の好きなおじいちゃんおばあちゃん達。今日も家にいるかな?会えるかな?と思って毎週楽しみに事務所を出発しています。

さて、次回は九州最大の繁華街「天神」。ここではどんなLFCの仕組みがあるのでしょうか。

タイラ 光(たいら ひかり)

1996年生まれ。コンポスト歴約20年。NPO法人循環生活研究所に所属し、LFC事業・環境教育・自立支援の企画運営を担当。循環生活研究所とローカルフードサイクリング(株)のコンポストアドバイザー。

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