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目指せ、ゼロウェイスト&プラスチックフリーの快適生活(5)プラスチックは大問題 2021.08.15

今回はプラスチックの問題について、ざっくりと解説します。いくつかの主要な問題をまとめてみると、次のようになります。

材料の問題

プラスチックは石油製品。現代社会はこんなにもプラスチックに依存しているというのに、この先石油が枯渇すれば、プラスチックは製造できなくなってしまいます。また、石油製品であるプラスチックを燃やすと、二酸化炭素が出て、気候変動の要因となります。脱炭素社会への舵取りが必要な今、これは大問題です。

天然ゴムを使用した消しゴム。身近なところにも素材を見つめ直すきっかけはある。

健康リスクの問題

プラスチックは、硬くしたり、伸びやすくしたり、色をつけたり、燃えにくくしたり、抗菌作用や防カビ作用など、数えきれない添加剤を加えて加工されています。これらの多くに発がん性や内分泌かく乱性が確認されていて、しかも、熱を加えたり、油や酸に触れることで、漏れ出てきて人間の体内に入ることが確認されています。

リサイクルの問題

プラスチックは種類が多く、劣化もしやすく、残念ながらリサイクルが難しい物質です。コストに見合わず、燃やして熱エネルギーを回収するだけということも多いですし、国内だけでは対処できず、多くを発展途上国に輸出して処理してもらっていることも大問題です。

環境汚染の問題

人工的な合成物のため、土に非常に還りにくいプラスチック。細かく砕けた「マイクロプラスチック」が数十年から数百年残り続けます。気流や海流に乗って、今や北極から深海までマイクロプラスチックが確認されていますし、塩や人間の糞便からも検出されています。

便利なプラスチックですが、問題は結構深刻ですよね。しかも、これらはすべて、プラスチックが急速に普及したわずか50~60年の間に起きたこと。そして、発展途上国の文明化に伴い、プラスチックの需要はまだまだ増え続けています。とにかく、減らせるものを徹底的に減らすこと、そしてより安全な代替素材の開発が急がれます。

ちなみにプラスチックは、ペットボトルやストローや食品のパッケージばかりではありません。たとえば、牛乳パックや缶詰や紙コップの内側にもプラスチックがコーティングされていますし、ティッシュペーパーや使い捨ておしぼりにもプラスチックが配合されています。

テフロンもプラスチックの一種。ナイロンやポリエステルなどの合成繊維は、繊維状に加工されたプラスチックですから、合成繊維の服や布団の綿埃はマイクロプラスチックそのものです。その他、消しゴムのカス、いつの間にかすり減る靴底やタイヤなど、ふと考えるとゾッとするプラスチックもたくさんあります。

興味を持っていただいた方は、拙訳『プラスチック・フリー生活』(NHK出版)もぜひ参考に、「できるだけプラスチックフリー」を目指してみてください。

 

服部 雄一郎(はっとり ゆういちろう)

町役場のごみ担当職員を経て、アメリカ留学。廃棄物NGOで働いた後、高知に移住。『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)、『プラスチック・フリー生活』(NHK出版)などエコ本を翻訳する傍ら、SNS等での発信も行う。

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