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暮らしの中にある麻~麻という素材~ 2021.05.14

みなさん、はじめまして。
itonamiという屋号で
麻の繊維を糸にして機織りをして布にするという工程を
昔ながらの方法で作っている岩瀬希望と申します。

「麻」と聞いたときに
「硬くてゴワゴワする、涼しくて夏にしか着れない。」
そんなイメージを抱く人も多いかもしれません。
その一方で、
麻には「柔らかくて、速乾性があり、冬でも着ることができる。」
そういった特徴もあります。
相反する特徴ですが、その理由は麻が何種類もあるというところからきています。

ひと昔前は麻というとアサ科の麻の一種類でした。
イラクサ科の麻も日本に昔から根付いていますが、
苧麻(ちょま)と呼ばれ、呼称を分けられていました。
時代を重ねると輸入麻が増え、
亜麻(アマ科)、黄麻(ジュート麻・アオイ科)、サイザル麻(クサスギカズラ科)などが入ってきました。

ハリがあり氷をまとったような涼しさがある麻。
コーヒーの豆袋に使う麻。
さらっとした肌触りの良い麻。
農業資材に使うような麻紐。
同じ麻でも種類がたくさんあるので性格も用途も変わってきます。

 

日本の昔からある麻は暮らしになくてはならず、
どの家庭でも親しまれていました。
庶民の野良着や着物をはじめ
漁網、ロープ、建築材、紙、お祭りの松明、
神社にお参りする際に鈴を鳴らすための鈴緒、お祓いをしてもらう際の大幣(おおぬさ)、
場所によっては、しめ縄も麻で作られています。
天皇陛下の即位の儀式にも麻の織物が使用されているのです。

庶民の衣から位の高い人や祭礼・神事に使うことができるマルチな植物が
日本の昔からの麻の特徴です。

みなさんの暮らしの中では、どんな特徴の麻が身近ですか?
用途によって種類を変えて、取り入れてみると、
暮らしに表情が出るかもしれません。

岩瀬 希望(いわせ のぞみ)

滋賀県生まれ栃木県在住。 広告制作会社の営業から自然学校職員という過程を経て衣食住の何かの実践者になりたいと、奥会津の村にて伝統工芸の苧麻織の修行へ。現在はitonamiという屋号で栃木にて日本の麻の糸を作りながら、麻農家の手伝いをしたり、無農薬の田んぼ、果樹や畑から恵みをいただいて、里山の地に足をつけた暮らしを目指して奮闘中。

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