令和4年度教職員等環境教育・学習推進リーダー養成研修プログラム・デザイン・コース
「目の前の自然を活かしたプログラムづくり」
~体験を通して自然の原理原則を学び、自ら問を立てる~
1月6日(金)、北海道上川郡東川町にてプログラムデザイン研修が開催されました。
東川町は北海道の中心に位置し、旭川駅から車で20分程のところです。
この地域には大雪山からの豊かな水があり、また東川町は「広大な自然そして文化を、写す、残す、伝えるー写真の町」として写真文化の中心地でもあります。ここに、教員、NPO職員など参加者14名が集いました。
午前は東川町「せんとぴゅあ」施設内で、NPO法人大雪山自然学校 荒井一洋さん、尾瀬高校活性化委員会 松井孝夫さんを講師に迎え座学が実施されました。
最初にアイスブレイク。荒井さんのファシリテーションで、荒井さんの問い対して、いくつかのグループに分かれる動きを繰り返しました。最後に声を出して自己紹介という流れです。「初対面の人たちの前で声を出すことのハードル」について皆で考え、参加者の緊張を解しながら、物理的、社会的、精神的な3つの学習環境をどう整えるか、参加者の欲求をどのように受け止め応えるか、荒井さんの丁寧なアイスブレイクのプロセスを経て学び、【講義1:体験学習の考え方】がスタートしました。
荒井さんが運営されている「NPO法人大雪山自然学校」では、北海道の豊かな自然なかで自然体験を通した環境教育が実施され環境保全活動、北海道の子どもたちが経験すべき自然100選」をコンセプトにした子供の自然体験活動、エコツアー、指導者養成などを行っています。
「大雪山を代表する異なる3つの環境を歩く~高山帯・樹林帯・高層湿原~30種類の高山植物を観察」等、サスティナブルツアーとしての事例をお話いただき、「身近な自然とふれあう」を、テーマに体験学習のプログラムをデザインするうえで大切なことのポイントを講義していただきました。
インストラクター、インタープリター、ファシリテーターの役割について考え、求める成果を出すにはインタープリテーション、ファシリテーションどちらが良いのかを整理して指導にあたる、体験者自身が発見する場へ導くこと。
また、リスクマネージメントの三段階、「起きる前にどう準備をするか」「プログラムの当日に何をするか」「起きてしまったときにどうするか」について、事例を出して話していただきました。
指導者として安全管理の責任を負うことは基本ではありますが、防ぎたいことを共有する両者間においての“セーフティートーク”が重要ということです。
次の【講義2:学校とつながるためのワンポイントアドバイス】では松井先生に講義をしていただきました。
お話の中で学校教職員とNPO/NGOとの相互理解について(例:自然保護協会、環境教育学会等)もお話がありました。学校と連携をし、環境教育を推進している団体に、教職員も自らメンバーとして入り係り理解を深めるという提案がありました。
また教職員からの意見で、連携先にすべてを委託するのは、教員として惜しいという感情があり、生徒が気付きを得たときに自らもそれに対し課題を投げかけたいというご意見などがでました。このほかにも普段感じていらっしゃる参加者たちの思いや経験が語られ、活発な意見交換が行われました。
昼食は東川町の地産地消のメニューでおいしいお弁当をいただきました。
午後は「せんとぴゅあ」から、バスでキトウシ森林公園へ移動しました。
キトウシ森林公園は、東川町の北側に位置し、キトウシ山(標高457m)一帯に広がる自然公園です。その広さは、東京ドーム約25個分がすっぽり入ってしまうほどの広大なエリアです。ここに大雪山自然学校があります。馬も飼われていて動物介在教育(ホースセラピー)にも熱心です。
午後のテーマは、「目の前の自然から自然の仕組みを考え、アウトドアの技術を身に着ける」です。
美しい雪景色が広がる森の中、全員スノーシューに履き替え、5つのグループを作りアクティビティをスタートしました。
早速、荒井さんからの課題「違う種類の木の芽を集めましょう」に、挑戦です。朴の木、白樺、コブシなど樹木を見分けながら短く枝を折り木の芽を集めました。雪深く、川は雪の下にあるので、足がはまらないように、皆、注意をして歩きました。川のところでフキノトウを見つけたり、折った木の枝のにおいを嗅いだり、ゆっくり深呼吸をしたり、全員が思い思いの自然を発見しながら雪山を楽しみました。
スノーシューを履いての自然体験を終え、大雪山自然学校の長多さんが用意してくれた、朴の木の葉のお茶、コーヒーをストーブを囲みいただきました。
その後、室内に戻り、皆で集めた「木の芽」についてなぜそのような形になっているのかを考察し、本日の学びについてグループに分かれて意見交換を行いました。
「自分のフィールドで、子どもたちが得意なスマートフォンを用いた自然観察写真展をしたい」、「今後この経験を活かし、木を使った工芸に挑戦させたい」など、私がご一緒させていただいたグループでも、体験を活かした活動の希望が出されるなど前向きなご意見をお伺いすることができました。
同じ志を持たれる方たちが集い、ともに過ごすことができる、場作りの重要性と、今回の参加を通し、プログラムの終了後も参加者同士が交流できるネットワークづくりの支援も事務局の責務と強く感じました。ご協力いただきました皆様ありがとうございました。
(文責:中地 愛)