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バングラデシュ農畜林水産業の6次産業化プロジェクト(第2年次)活動完了報告! 2022.06.03

バングラデシュで唯一ユネスコの世界自然遺産に登録されているシュンドルボン地域において、当該地域の豊かな自然の恵みを保全・活用した農畜林水産物の6次産業化とエコ・グリーンツーリズムによる零細農村生産者の貧困削減と地域振興の取組みを実施しています。本事業は、外務省日本NGO連携無償資金協力の資金源により2020年2月からスタートし、3年間の計画で進めています。

第1年次事業では、農畜林水産物の6次産業化を進めるための農村生産者協同組合(受益者265世帯)の組織形成や、協同組合の事務所兼倉庫およびコテージ(宿泊施設)の建設、生産技術の向上、商品開発・加工技術の習得やエコ・グリーンツーリズムを進めるための能力開発等を行いました。

今回は、第2年次事業期間(2021年8月~2022年3月)の主な活動成果について報告します。

▼第2年次事業期間(2021年2月~2021年7月)までの活動進捗報告
第2年次事業の活動進捗紹介ページ

 

本事業実施期間では、開発した農畜林水産物の商品を市場で販売するため、組織基盤の強化やマーケティングを中心とした取組みを実施しました。また、第1年次に続いて、地域の自然環境保全に対する意識を高めるため、マングローブや果樹の植林を通じた環境学習を行いました。主な活動成果は、下記の通りです。

 

農業生産者協同組合の組織運営・基盤の強化

毎月、協同組合員から80タカ(100円程)を協同組合の運営費として集め、事業終了後の財源基盤確保に努めました。また、組合員のユニフォームを作成して、組合運営に対する意識向上を図りました。

写真:組合員を集めた定例会の開催

写真:協同組合事務所と組合員ユニフォーム

適切な農林畜水産業の生産技術の習得や商品開発・サービスを行うための技能向上

農畜林水産業の6次産業化の加工技術等を学ぶため、食品工場へのスタディツアーを開催したことで、その技能の習得を図ることができました。

写真:漁業グループによるスタディツアー

また、開発した商品のパンフレットの配布、グリーンショップの開設やオンラインによる販売等を通じてのマーケティングを行いました。合計約59,000人への商品の周知・販売やエコ・グリーンツーリズムのプログラムを提供しました。

その結果、漁師と農業・畜産の各グループにおける現金収入が事業開始前よりも15%、非木材林産物生産グループは28%、エコ・グリーンツーリズムグループは、事業開始前よりも約7.4倍増加し、ほぼ当初の計画通りに生計向上を果たすことができました。

写真:非木材林産物に関する商品カタログ

写真:クルナに開設されたグリーンショップ

写真:事業で建造したネイチャーボートによるエコ・グリーンツーリズム

 

シュンドルボン沿岸流域を中心とした住民参加型の植林と環境教育の実施

11の小学校の先生、生徒や組合員がマングローブの植林20,000本および果樹・薬樹3,000本の植林を通じた環境学習を行いました。自然環境と自分たちが暮らす地域の営みとの関わりを理解することで、当該地域の自然環境保全の重要性について一層理解を深めることができました。

写真:植林活動

写真:地域の自然環境を学ぶ環境教育

2022年3月より、本事業の最終年(第3年次)の取組みがスタートしています。本活動期間では、受益者の生計向上をより確かなものにしていくため、効果的且つ効率的なマーケティング戦略を検討しながら、彼らの自立発展性を一層高めていけるよう、事業の計画・実施者として意識を持ち進めていきます。

 

文責:佐藤秀樹(江戸川大学 社会学部 現代社会学科 専任講師/日本環境教育フォーラム客員上席研究員)

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