地球のこども2018年7.8月号特集「食品ロスから環境を考える」の中で「捨てないパン屋のつくり方」に掲載させて頂いた田村さん。
かつて自然学校のガイドとして活躍されていた経験から、いまに生きていることを伺いました。
「食は命の源に届ける
供え物だから
季節ごとの
天の恵みを
うつわにもって味わう
おごそかな
快楽の
儀式である」
中原 秀雪の詩。
僕も、これを読んでいるあなたも、とても大切な存在。
どんなに化学が進歩しても、
あなたを作ることはできない。
あなたの変わりはどこにもない。
100万円出しても、
100億円出しても、
いくらお金を払っても、
あなたの命は、
かけがえのないたった一つの物。
食べ物とは、
その大切な大切なあなたの体を創ったり動かしたりするための、 体への供え物。
僕のやってるパン屋も、そんな大切な食べ物を扱う仕事です。
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だから、結論から言うと、
パン屋になるためには、パンの勉強をしている暇はありませんでした。
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僕は、パン屋になる前、北海道で山の勉強をしたり、沖縄やモンゴルでエコツアーの仕事をしていました。
山に登ったり、川を渡ったり、木に登ったり、
海で魚を捕ったり、馬に乗ったり、知らない土地へ旅をして、色んな人とお酒を飲んで、歌った。今思えば、そんな日々は、いろんなことに心が感動するようになる為の、すばらしい訓練でした。
そうやって自分の中にたまった感動は勝手にパンに入る。
最初は学校でパンを習った人の方が、上手にパンを焼いたかもしれません。
でも、上手である必要はなかったのです。
何回も何回もパンを焼くうちに、僕のパンには、
今まで経験した、たくさんの感動を込めることができたのですから。
山で寝たときの心地よい朝の感動。
モンゴルでヒツジを殺した食べたときの複雑な気持ち。
お客さんは上手なパンを買いに来るのではありません。
感動するパンを買いに来るのです。
自分や家族のために、その大切な体のことを考えて、とびっきり感動するようなパンを探しているのですから。
これはきっと、どんな職業でも同じ事だと感じます。
だから、皆さんも、たくさんの経験と感動を得るために、
自然の中へ出かけましょう!!!