事務局日誌 Blog

【バングラデシュ】9月出張報告(前編) 2025.11.19

9月10日~19日に「バングラデシュ・ジョショール県の零細ヤシ砂糖生産者と花卉農家の6次産業化を通じた生計向上プロジェクト」の第3年次の同行・現地視察に行ってまいりました。

今回、初めてバングラデシュに渡航させていただき、とても学びの多い時間でした。
現地の様子をレポートします!

新規事業予定地視察🐯

JICA草の根事業のターゲット地を視察し、現地住民の方への聞き取り調査を行いました。

予定地となる場所は、バングラデシュの世界遺産に登録されており、バングラデシュ・クルナ管区南部からインド・西ベンガル州にまたがる世界最大のデルタ地帯です。ここはモンスーンや洪水、潮の満ち引きといった天候や地理的条件によって世界最大級のマングローブ林が形成されており、絶滅危惧種のベンガルトラの世界最大規模の保護区となっています。その他に世界でも珍しい川に生息するガンジスカワイルカや、イリエワニ、鳥類も260種も確認されるなど、豊かな生態系を持った地域です。

世界最大のマングローブ林,シュンドルボン | 眺める、楽しむ、地球科学。

今回訪れた地域は、河岸浸食が進行しているエリアで、堤防の外側で暮らす漁師さんへヒアリング調査を行いました。このデルタ地帯は川が水路のように入り組んでいるため、サイクロンなどの自然災害が起きると、洪水が起き、それによって河岸浸食が引き起こされ、このエリアに住む住民の深刻な課題となっています。

川を渡る現地の方々。対岸を渡って視察地へ向かいます。
なんとここで「ガンジスカワイルカ」に会うことができました…🐬!(背中と尾びれのみでしたが…)

目的地に向かう途中、たくさんの水上家屋が。テレビでみたことのある景色。
こどもたちが遠くからたくさん手を振ってくれました。👋👋👋


目的地に着き、調査開始。エビやカニで生計を立てているという漁師さんから、現状の課題点についてヒアリングします。

この一帯に住む彼らの課題は、生態系保全のための禁漁期間中は収入が得られないことと、月2回の大潮の時は水位が上がって家まで水が来てしまうこと、養殖用のカニいけすまで水が入り込み、収入源であるカニが逃げてしまうといった問題があるいった課題があることを教えてくれました。

エビやカニで生計を立てている漁師さんへのヒアリングの様子。
BEDS(バングラデシュ環境開発協会)のスタッフと。

 

猟師さんのおうちの前。すぐ目の前に川があります。
他の集落にも視察へ。河岸浸食が進み、歩くスペースが少ない…!
川の真ん中を歩いているような感じでした。

▼(左)道中、漁網を拡げているこどもたちに会いました。(右)漁師さんのお母さんが作った漁網。

その後現地視察を踏まえて、BEDSスタッフと対象エリアの確定や、活動内容・地域資源の整理を行いました。

スタッフたちよりウェルカムフラワーをいただきました!🌸

▼現地視察を踏まえて、BEDSスタッフと話し合い。

組合員成果共有&計画立案ワークショップ🎤

この日は組合員のみなさんが集まり、グループワークを行い、その後各グループの3年次の半年間の成果発表を行いました。組合全体での販売方法や、花卉栽培グループの海外輸出の希望、個々の収入は少なくても組合に所属することで得られるメリットや組合の重要性などが話題に上がっていて、少しでも生活をよくしたいという組合員のみなさんの熱量を肌で感じることができました!

(左)JEEFからも一人ひとりみなさんの前でご挨拶させていただきました!みなさん温かく迎えいれてくれて嬉しかったです。(右)組合員のみなさんと集合写真📸

手工芸グループ(花)視察

手工芸グループの活動を見学させていただきました!
この日は朝から月例ミーティングで、オンラインマーケティングについての意見交換が活発に交わされていました。商品をアピールするにはオフラインでは時間がかかるため、FacebookやWhatsAppなどのSNSを活用したいといった情報交換がされていました。

手工芸品としては、レジンの腕輪、草木染めシャツ、オイル、石鹸の4種類があり、すべてに力を入れて販売したいとのこと、熱意を込めて語られている姿がとても印象的でした。

女性たちの纏っている布がとても明るくカラフルで見入ってしまう…🌈

▼手工芸品(レジンの腕輪、草木染めシャツ、オイル、石鹸)

アグロツーリズム

次の視察先は、アグロツーリズムを実施している花卉農家さんのところへ。
ジョショールは花卉栽培が有名で、多くの地元の人々が花を見に訪れるそうです。(近くに遊園地もあるのだとか!)農園に訪れるにあたって、入園チケット制を導入したとのことですが、他の農家さんも同じような取組を始めているそうで、差別化が課題となっています。

 

日本バングラデシュ文化交流協会(JBCEA)視察

ジョショール県で1999年から活動を継続している日本のNGOをBEDSスタッフ8名とともに訪問させていただきました!日本バングラデシュ文化交流協会(JBCEA)さんの事務所は、アグロツーリズムで訪れた農園の近くにあり、①学校給食 ②手工芸品 ③農業(大豆)を主な活動内容としているそうです。

ノクシカタと呼ばれる手刺繍の布製品は日本向けに販売されており、厳しい検品のもと販路開拓が行われていました。品質管理担当者がひとつひとつ細かく品質チェックを行っているため、とてもクオリティが高く、デザインも美しく、ここで大量に購入してしまいました!

 

 

▼日本バングラデシュ文化交流協会(JBCEA)のみなさんと。

ノクシカタを制作する女性グループを訪問。職場は家から近く、20名ほどのグループで協力しながら作業をしていました。

 

新規事業予定地の視察では、気候変動の影響をもろに受けている脆弱な地域に足を運ばせていただき、またそこに住む人々の声を直接聞き、生活している様子をみて、日本では実感できないリアルな現実を目の当たりにしました。そして決して他人事ではないなという危機感も感じました。それでもそこで生きていくしかない彼らの生活の質を良くしていくには何ができるか、帰国してからもずっとぐるぐると考えています。

また、1年次から続いている手工芸や花卉生産者グループ、組合員の方々のお話を聞いて、プロジェクトがとても良い方向に行っていると確信しました。一人ひとりが、自分たちの仕事にプライドと情熱をかけ、より良いものにしていく気概と意思がとても強く感じられました。

また、今回のプロジェクトに一緒に伴走しているBEDSのスタッフの皆さんも、非常に協力的であり、同じ目線で走れていることにとても感動を覚えました。


おまけ(バングラデシュの台所事情)

今回バングラデシュに初めて渡航して驚いたのはこちら!バングラデシュの包丁です。
バングラデシュの包丁は「ダー」と呼ばれ、包丁は床に座って足で抑えながら、食材を動かして切るのだそう。大きな野菜を切る時は便利そうだけど、細かく切るにはコツがいりそう…みじん切りできるまでかなりの修業が必要そうですが、いつかトライしてみたいなと思いました!

みなさんもバングラデシュに行かれた際は、是非見つけてみてくださいね🔪🔪

▼手工芸グループのマダムにサリーを着せてもらいました♪JEEFスタッフ全員でぱしゃり📸

 

文責:原田真梨子(事業部・官公庁事業グループ)

>>後半へ続く

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