インドネシアにおける環境教育・環境保全活動の視察に、JEEF2年目の小池が行ってまいりました!インドネシアの豊かな自然と人々の温かさに魅せられた視察の様子をぜひご覧ください。
🌸DAY1:マラサリ村(チタラハブ集落)
インドネシア到着後、活動地の一つであるマラサリ村へ移動し、2025年1月に日本で実施したスタディツアーに参加したマラサリ村メンバーと合流しました。
日本でのスタディツアーの様子はこちら
その後、村内の草木染めによるエコプリント製品を手がける女性グループ 「Ambu Halimun」 と意見交換を行いました。Ambu Halimunは、2021年に活動を開始した女性グループで、布への草木染め(エコプリント)を通じた収入創出に取り組んでいます。都市の先行団体から技術指導を受け、現在では製品販売やワークショップ実施までを自立的に行う体制が整いつつあります。
女性たちへのヒアリングからは、
・安定した副収入の創出
・子どもの教育費への充当
・貯蓄習慣の定着
・原材料となる植物資源の持続的利用(採取制限・植樹)
といった生活や意識の変化が確認できました。収益の一部を植樹に充てるなど、経済活動と環境配慮を両立させる姿勢が印象的でした。
今後は、製品のバリエーション拡充(縫製品・アクセサリー等)を通じた販路拡大を目標としており、ワークショップは観光客向けプログラムとしても実施されています。


▲ヒアリングの様子と、エコプリントで制作された布。とっても笑顔がチャーミングでお話好きなお母さんたち。
🌳DAY2:トレッキング
2日目はジャングルに入り、グヌン・ハリムン・サラク国立公園内のトレッキングを実施しました。マラサリ村のベテランガイドAde氏の案内のもと、約4時間にわたり動植物の特徴や生態について学びながら歩きました。
節間に水が蓄えられており飲用できる竹の仲間 Dinochloa scandens や、樹液が酸化して赤くなる Knema cinerea など、現地ならではの植物についての解説があり、自然環境を「見る」だけでなく「理解する」体験となりました。


終盤には、絶滅危惧種に指定されているジャワ島固有種の小型類人猿 ジャワギボン を観察することができました。

因みにスタッフ小池がジャワギボンを初めて見た時に出た言葉は「手、ながっ!!」でした。ジャワギボンの和名は「ワウワウテナガザル」なので、そりゃそーだ。なのですが。
しかも鳴き声も「ワウッ ワウッ!」なのです😊
マラサリ村のガイドは、参加者の様子を見ながらトレッキングコースを選んでくれます。
初めての海外トレッキングの私は初心者向けコースでしたが、自然を楽しむ余裕を持ちながらトレッキングも楽しめて、大満足の内容でした。
🌴DAY3:マラサリ村(シジャグル集落)
トレッキング後は、ビジターセンター建設が進むシジャグル集落へ移動し、ヤシ砂糖の製造工程を視察しました。村内で消費されるヤシ砂糖は、樹液の採取から煮詰めまで、すべて手作業で行われています。完成したヤシ砂糖を味見させていただきましたが、これがまた優しい自然な甘さで、インドネシアコーヒーによく合うんです!




夕刻には、JEEFインドネシア、マラサリ村観光チーム、シジャグル集落のホームステイ受け入れ世帯が集まって開催される定例ミーティングに参加しました。
水資源の共有や国立公園との関係性などについて率直な意見交換が行われ、課題を整理しながら合意形成を図る姿が見られました。真剣に話し合いつつも笑顔の絶えない和やかな雰囲気に、村人同士の良好な関係性が伺えます。
🌾DAY4:地域資源を活かした体験活動
この日はマラサリ村の観光プログラムの一環として、村で栽培された珈琲豆の焙煎・粉づくり体験、ならびに棚田での伝統米の稲刈り体験を行いました。
珈琲体験では、焙煎から臼での粉砕までを住民に教わりながら実施し、地産地消の流れを体感する内容となっています。



伝統米の栽培については、収量よりも環境負荷の低さを重視した農法が採られており、訪問者に「経済と環境のバランス」を考えるきっかけを与えるプログラムとしての可能性を感じました。


建設中のビジターセンターも視察し、地域主体の観光拠点として整備が進められている様子を確認しました。

🏢DAY5:関係機関訪問(ジャカルタ)
ボゴールからジャカルタへ移動し、JICAインドネシア事務所 を訪問しました。森林分野の担当者を含む複数名と意見交換を行い、長年にわたり継続されてきた国立公園周辺での取り組みや、エコツーリズムを通じた学びの可能性について共有しました。
その後、ジャカルタ市内のNGO PARARA を訪問させていただきました。PARARAは、インドネシア各地の地域産品や伝統的生産活動を社会に広めることを目的とした団体で、NTFP(非木材林産物)を軸としたフェアトレード商品を扱っています。施設内には販売スペースやミーティングルームが併設されており、地域団体やNGOの活動拠点としても活用されています。


まとめ
本出張では、西ジャワ州マラサリ村を中心に、地域住民主体によるエコツーリズムや森林資源を活かした生計向上の取り組みを調査しました。
エコプリント、ヤシ砂糖、伝統米、珈琲といった地域資源を活かした活動は、収入創出にとどまらず、教育や貯蓄、自然資源の持続的利用へとつながっていることが確認できました。
また、ガイド付きトレッキングや体験型プログラムを通じて、自然環境の価値を分かりやすく伝えるツーリズムの可能性を実感しました。
今後、日本からのスタディツアーや環境教育プログラムへの展開も期待されます。
そして行政機関やNGOとの意見交換を通じ、草の根レベルでの取り組みと外部機関との連携が、地域の持続的発展において重要であることを改めて認識しました。
今後は、日本側の地域づくりや環境教育との連携を視野に入れ、継続的な協働関係の構築を検討していきたいと考えています。


~美しいマラサリ村の棚田~
文責:小池涼子(事業部 海外事業グループ)
