―育つ森と、地域に根ざした学び―
こんにちは。海外事業グループの小池です。
インドネシア出張記の最終回であるvol.3では、マングローブ植林地とボゴール自然学校への訪問をお届けします。どちらの場所でも印象に残ったのは、環境を守る活動や学びが、地域の人々の暮らしと深く結びついていることでした。
長年の植林が、豊かな森に🌱
ボゴールからブカシ県へ移動し、JEEFインドネシア事務所が継続して取り組んでいるマングローブ植林地を訪れました。
まず見学したのは、2011年にトヨタ車体株式会社様の支援で植林したエリアです。当時植えたマングローブは、今では高さ10mを超えるまでに成長していました。目の前に広がる森から、長く活動を続けることで育まれる自然の豊かさを実感しました。


その後、ジャカルタ湾沿岸の新しい植林地へ。ドローンで上空から植林地の様子を確認しました。
この地域は波の影響を受けやすく、かつて行われていたエビ養殖も難しくなった場所です。現在は、マングローブの根や幹が波の勢いを弱め、海岸の浸食や養殖池の崩壊を防ぐ「天然の防波堤」となることを目指して植林が進められています。これは、人工の消波ブロックなどに頼るだけでなく、自然の力を活用して防災・減災を図る「NbS(Nature-based Solutions:自然を活用した解決策)」の取り組みでもあります。
こうして海岸を守りながら、将来的には地域の生業であるエビ養殖の再開にもつなげようとしています。また、現地では、マングローブ林によって豊かな養分が戻り、カニの養殖も順調になっていると伺いました。



マングローブを育てることが、海岸の保全と地域の暮らしを支えることにつながっている。その関わりを現場で知ることができました。
現場の気づきを、次の取り組みへ
植樹の現場では、新たな課題も見えてきました。苗木を竹の支柱に固定するために、プラスチック製の紐が使われていたのです。
現地スタッフからは、「環境を守る活動だからこそ、使用する資材も環境への負荷が少ないものに変えられないか」という意見がありました。
この声を受け、帰国後は、海水や汽水域での使用に適した生分解性の糸・紐について、関連製品を扱う企業に相談したいと考えています。現場で必要な強度や分解条件なども確認しながら、資材協賛の可能性を探っていく予定です。
これまでの成果を確かめるだけでなく、現場の気づきを次の改善につなげる。今回の視察は、そんな機会にもなりました。

▲マングローブの根のポーズで集合写真📸
地域とともに学ぶ、ボゴール自然学校
出張最終日は、ボゴール自然学校を訪問しました。
ボゴール自然学校は、財団が運営する私立の教育機関で、国の認可を受けながら独自の教育を実践しています。インドネシアの自然学校の中でも先駆的な存在として、他校の運営や教育にも関わっており、現在は約240名の生徒が学んでいるそうです。

教育の柱は、「イスラムの価値観・態度」「ロジック(論理的思考)」「リーダーシップ」「ビジネス」の4つ。国のカリキュラムを基本に、学校独自の学びを組み合わせ、特に「地域で学び、実践すること」を大切にしています。
その姿勢は、地域との関わりにも表れていました。家庭菜園などの農業支援を行い、地域住民が育てた野菜を学校関係者が購入するほか、生徒による炊き出しなども実施。また地域住民が無料で利用できるクリニックも設けられています。学校は子どもたちの学びの場であると同時に、地域の暮らしを支える拠点でもありました。
▲地域住民へ無料で提供しているクリニック
進路についても、大学進学そのものを目標にするのではなく、「何を学ぶために大学へ行くのか」を生徒自身が考えることを重視しています。ビジネスや論理的思考を学ぶのも、自分が関心を持つ社会課題を解決する力を身につけるため。在学中や卒業後に、自ら事業を始める生徒も多いと伺いました。
学んだことを地域で生かし、その経験からまた学ぶ。そんな教育のあり方に、日本の学生にとっても多くの気づきがあると感じました。
▲学生がプラスチックごみから制作し販売している製品今回の出会いを、これからの交流へ
ボゴール自然学校では、海外からの訪問も受け入れ、SDGsをテーマに周辺のコミュニティを巡るプログラムなどを実施しています。
将来、JEEFがインドネシアでスタディツアーを行う際には、ぜひ訪問先の一つとして検討したい場所です。学校を見学するだけでなく、現地の生徒と日本の学生が互いの地域や社会課題について語り合い、一緒に活動することで、学び合いの機会も生まれるのではないでしょうか。

今回の出張では、森を育てる人、資源を回収する人、地域とともに学ぶ人など、さまざまな方々に出会いました。「環境の課題を考えることは、その場所で暮らす人々を知ることでもある」そんな気づきを、これからのJEEFの活動や交流につなげていきたいと思います。

文責:小池涼子(事業部 海外事業グループ)
