事務局日誌 Blog

【レポート】つないでいこう川遊び 2025.09.25

2025年8月24日、三重県多気郡大台町にて町内の家族を対象とした「つないでいこう川遊び」を実施しました。何度も日本一の清流に選ばれたことがある宮川の源流部から中流域が流れる大台町ですが、残念ながら年々川遊びをする子どもや家族が少なくなっているのが現状です。

50年ほど前の小学生の夏休みは、毎日川遊びをしていました。保護者が交代で監視役となって、各地区で小学生たちの川遊びの時間を確保していたのです。今はその習慣も廃れ、小学生の泳ぐ機会は小学校のプール開放のみとなってしまいました。

このような現状の中、昔ながらに大人も子どもも一緒に川遊びをしていた、そんな楽しい時代をつないでいこうというのがこの事業の目的です。

清流宮川で思いっきり泳いだり、飛び込んだり、鮎のつかみ取りをしたりしました。お昼は鮎の塩焼きを頂きました。宮川に伝わる伝統漁法の瓶付けや4mの岩から6m以上ある深い川へ飛び込むなど、宮川をシンプルに思いっきり楽しみました。

(主催:大杉谷自然学校

鮎のつかみ取り

支流から流れ込んだ自然の池で鮎のつかみ取りをしました。大台町の子は何度か鮎つかみをしたことはありますが、家族揃っての体験は初めての家族ばかり。家族で協力して鮎を捕まえていました。

捕った鮎は各自串を打ちます。大台っ子たちはさすがに上手に串を打っていました。年下の子やお母さんにもしっかり教えてあげるなど、大台町で育った逞しさを保護者の方に伝える機会にもなりました。

飛び込み

岩の高さは3種類。小が1m、中が2m、大が4mです。そこから6mの深さにジャンプします。初めてで怖がっている子もいましたが、慣れた子は助走をつけて遠くまで、気持ちのいいジャンプを繰り返していました。こんなことができるのも、小さい頃から何度となく自然学校に遊びにきているからです。お母さんたちも子どもたちに誘われて飛び込みを楽しんでいました。

伝統漁法瓶づけ

宮川の伝統漁法瓶づけという漁法を実演しました。今はプラスチック製ですが、昔はガラスでできたとても貴重なものでした。昔は瓶の中で魚が動くことができないほどみっちり入ったそうです。 大台町ではお馴染みの漁法ですが、何度見ても魚がたくさん入る姿には驚かされます。カワムツ、オイカワが入り、婚姻色も観察できました。

魚釣りや魚とり

竹製の釣り竿でカワムツ、網でヌマチチブやヨシノボリを捕りました。釣りの餌は川で探して挑戦しました。

新種タニガワナマズ

2018年に新種と認定された大きなタニガワナマズが取れました。ナマズ類は夜行性のため、日中に観察できる機会はありませんので、大変貴重な機会となりました。あまりの大きさと迫力に大泣きしてしまう子もいました。宮川上流域ではナマズはおらず、タニガワナマズばかりが生息しています。夜の川と昼の川は見える魚が大きく違います。時間による川の変化を伝えるとてもよい時間でした。

最後に

最近は水難事故がとても増えています。その大きな原因の一つは、小さい頃からの自然体験の少なさにあると私は考えています。今の70代以上の人は毎日毎日何時間も川で過ごしていたのです。昔の方は「箱眼鏡」という水を覗く道具を使っていましたが、噛んで使われる底板は必ず2重になっています。なぜなら、ひと夏使うとこの杉板を噛みぬいてしまうほど、長時間川で使っていたからなのです。今でも昔の道具にはくっきりした噛み跡があります。

箱眼鏡の噛み跡

今ではこの道具は使わずシュノーケルになってしまいましたが、昔の大台町の人々がどれだけ川に行っていたかをよく表しています。川の経験が豊富であれば、川の楽しさはもとより、川の恐ろしさや危険も知り尽くしていました。現代にそこまで川で過ごすことは難しいでしょう。でも、宮川で育った大台町の子どもたちの危なげない川での楽しみ方を見ると、確かにその伝統は受け継がれていっているなという気持ちがしました。

小さい頃から川で遊びつくす経験こそ、水難事故を防ぐ一助でもあるのです。これからも大台町の子どもや家族連れにこの伝統を繋いでいきたいと思いました。

参加者の声

  • 家族で一緒に川遊びをする機会はめったにないので、とても楽しかったです。そして娘たちの逞しさに驚き、小さい頃からの経験は代えがたい素晴らしいものだったのだということがわかりました。
  • 鮎が美味しかったです。
  • たくさんの魚がいることに驚きました。

JEEFは、東京マラソン財団チャリティ RUN with HEARTの寄付先団体です。本事業は、寄付先事業として実施いたしました。JEEFでは「誰ひとり取り残さない環境教育・自然体験」を目指し、日常生活を営む上で困難や課題、心配を抱える子ども・大人に、自然体験や癒しの機会を提供しています。

東京マラソン財団チャリティ RUN with HEART公式ウェブサイト

JEEFとつながる

JEEFに関するお知らせやイベント情報、
JEEF会員などからの環境教育に関する情報をお届けします。