非公開: 誰ひとり取り残さない環境教育を目指して

院内学級でのサイエンススクール

抗体検査などを行なっている企業みらかホールディングスさんの社会貢献の一環として、病院内の学校(院内学級)の子どもたちとGEMSしてきました。

さまざまな理由で中〜長期入院している小中学生が通うのが院内学級。体調によって出欠が左右されるので、当日まで人数、学年、症状などが確定しない中でのワークショップでした。

液体の特性を多方面から探究する『液体の探検』をやろうと思っていたのですが、行ってみると先生が「ベッドに寝たまま参加する子がいます」とのこと。液体がこぼれてはいけないので、ビンに入ったままいろいろな液体を観察するアクティビティだけ実施することに。

でも、ファシリテーションをベースにしているGEMSのアプローチはこういうときに強い!内容が変わったとしても、発問を工夫することとで当初と変わらない学びをつくることができます。

最初は緊張している生徒さんが多かったので、ペアでやるアイスブレークを長めにやってから本題へ。ビンを振ったり転がしたりしながら、「これは振ったら泡立つよ」「こっちは泡立つけどすぐ消えるな」などと分類していきます。

みんなが盛り上がっている中、1グループだけ表情暗く固まっているところがありました。発問しても目が合わず、アクティビティを変えても反応がありません。(終了後に、心療内科に入院されている生徒さんだと伺いました)

さてどうしようかと考えたときに、そういえばペアのアイスブレークは楽しそうにやっていたなと思い出しました。一対一でなら関係がつくれるタイプなのかと、急きょ流れを変えて予備で持ってきていた『世界の数学』のゲームへ。

これがビンゴで、さっきまで固まっていた子たちに笑顔が戻り、先生を相手に「もう1回!次は勝つから!」と何回も何回もチャレンジしていました。普段はおはじきを使ってやっているゲームも、付箋を使うことでベッドに寝たままでもプレイできるようにアレンジ。みんなで楽しく学んで終わることができました。

子どもたちには、こんなメッセージを伝えました。
「今やったゲームは“こう勝ちたい”ってゴールを描いて、そのために一手目にどう動こう、次はどうしようって考えたでしょ?それは、自分は将来こうなりたいとか、退院したらどうしようとか、そういうことをイメージして、そのために今から何をしようって考えるのと一緒。みんなの未来のためにたくさん学んでください」

今回強く感じたのは、子どもたちは本来学ぶ意欲に溢れているということ。ただ、提供されるコンテンツやアプローチが合わなくて意欲に蓋をしてしまうことがあります。もし僕が心療内科の子たちの様子に気づいて活動を変えなければ、ベッドの子がいるのにおはじきにこだわり続けていたらー。アセスメントって大事ですね。

最後に、ゲーム盤をプレゼントすると伝えたら子どもたちも先生たちも大喜び。校長先生いわく「院内学級だと、安全性の問題とかもあってなかなか体験的な学びができないんです」とのこと。これからも続けていきたい活動です。

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