非公開: 持続可能な社会をめざす「自然学校」の学び

第1期の概要

第1回 5月19日(水)19時30分〜21時40分

■「自然学校概論」 
講師:西村仁志(広島修道大学人間環境学部教授)

1996年2月22日、日本環境教育フォーラムは「自然学校宣言」集会を開催しました。
80年代から始まった先駆者たちの実践と議論は、ここから「自然学校」という旗印をかかげ、事業化、政策化に向けた協働の取り組みとして歩みはじめたのでした。
本講ではあらためて自然学校の先駆者たちの歩みを振り返りつつ、自然学校が果たしてきた役割、そして今後の課題について共有してまいります。

■「体験からの学びは人生を支える」 
講師:高野孝子(NPO法人エコプラス代表理事)

任意団体としてエコクラブ(その後エコプラスとして法人化)を初めて30年目になります。
平和でより豊かな社会を作るためにと当初掲げた「人・自然・異文化」の重要性は、増しているように思います。任意団体を立ち上げた背景にある私の旅の経験などをお話しし、その後の研究で、若い頃の深い体験がその人の哲学を作り、視野を広げ、人生を支え続けることが見えた研究結果などをご紹介します。

進行:加藤超大(日本環境教育フォーラム事務局長)

講師紹介

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西村仁志(にしむら ひとし)

広島修道大学人間環境学部教授。一般社団法人日本環境教育学会理事、公益社団法人日本環境教育フォーラム理事。博士(ソーシャル・イノベーション)。1993年、京都で環境教育の専門事務所「環境共育事務所カラーズ」を開業。環境学習・市民参加まちづくりのコーディネート、コンサルティングや研修会、イベント等の企画運営、アメリカ・ヨセミテ国立公園へのキャンプなどを行う。同志社大学大学院総合政策科学研究科准教授を経て、2012年より広島修道大学人間環境学部に着任。著書に「ソーシャル・イノベーションとしての自然学校」(みくに出版)、「ソーシャル・イノベーションが拓く世界」(法律文化社)など。

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高野孝子(たかの たかこ)

(特活)エコプラス代表理事、早稲田大学教授、立教大学客員教授。エジンバラ大学Ph.D。野外・環境教育、社会学や人類学など分野横断的な実践的研究を進める。1995年の北極海横断時には、インターネットで冒険の現場と世界各地を繋いだ学びの場作りに史上初めて挑戦した。地球上各地での自らの遠征や少数民族との旅の経験を踏まえ、90年代初めから地球規模の教育プロジェクトの企画運営に取り組む。「地域に根ざした教育」の重要性を提唱。社会貢献活動に献身する女性7名に向けた「オメガアワード2002」を緒方貞子さんや吉永さゆりさんらと共に受賞、2016年春期早稲田大学ティーチングアワード受賞ほか。環境ドキュメンタリー映画「地球交響曲第7番」に出演。

第2回 6月2日(水)19時30分〜21時40分

■「コロナ禍の自然学校」 
講師:加藤超大(JEEF事務局長)

2020年は新型コロナウイルス感染拡大より自然体験・環境教育・野外教育事業が中止・延期となりました。また、これにより全国の自然学校等の経営は窮地に陥ったのも事実です。 本講座では自然体験活動推進協議会(CONE)、日本アウトドアネットワーク(JON)、JEEFのネットワーク団体が中心となり実施した調査や要望書を踏まえ、コロナ禍における自然学校の活動を踏まえるとともに、With/Afterコロナ時代の自然学校について考えます。

■「中山間地域における自然学校」 
講師:辻英之(NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター代表理事)

人口1600人の泰阜村にとって、予算規模1億、若者雇用20人弱を擁するNPOは大企業的な存在であり、小規模地域に35年間、環境的・社会的・経済的に影響を与え続けてきた。コロナ禍により事業の全面中止を余儀なくされたこの1年。逆境を教育財と捉える自然学校が、どのようにその逆境を乗り越え、そのプロセスを学びに結び付けようとしているか、そして泰阜村行政や地域がどう自然学校を政策的に捉えなおしていくのか、生の声を紹介する。

進行:西村仁志(広島修道大学人間環境学部教授)

講師紹介

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加藤超大(かとう たつひろ)

(公社)日本環境教育フォーラム事務局長。(一社)日本環境教育学会事務局次長。JICA青年海外協力隊環境教育OV会会長。愛知県・名古屋市生まれ。大学卒業後に青年海外協力隊(職種:環境教育)として中東・ヨルダンへの派遣を経て、2014年よりJEEFに。入社後はバングラデシュやインドネシアでのエコツーリズムや自然の恵みを活用した製品の開発・販売事業に携わり、2019年11月より事務局長に就任。

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辻英之(つじ ひでゆき)

1970年福井県生まれ。人口1600人の泰阜村に移住して28年。「何もない村」における「教育」の産業化に成功した。村の暮らしの文化に内在する教育力を信じぬき、関わる人々全てに学びがある質の高い教育を提供する傍ら、青森大学特任教授・立教大学/桜美林大学/福井県立大学非常勤講師など講演・講義に全国を飛び回る他、「泰阜村総合戦略推進官」として「教育立村」の実現に向けて奔走する日々である。NPOグリーンウッド代表理事、JEEF理事、CONE常任理事、著書「奇跡のむらの物語 1000人の子どもが限界集落を救う!」(2011年 農文協)

第3回 6月16日(水)19時30分〜21時40分

「海外も注目する日本型森のようちえん~日本の森のようちえんのこれまでとこれから~」
講師:小菅江美(認定こども園 森のこども園てくてく園長・理事長)

海外発祥の地とされる森のようちえん。ですが、ところ変わればその形はそれぞれ。海外の様子を見れば見るほど、日本の自然の豊かさを実感します。そして日本の自然に寄り添った暮らしの豊かさを海外も注目しています。 みなさんと日本の森のようちえんのこれまでを知っていただき、これからの可能性を引き出していただきたいです。

「森と人をつなぐ自然学校」 
講師:萩原ナバ裕作(岐阜県立森林文化アカデミー「morinos(モリノス)」)

「すべての人と森をつなぐ」をコンセプトに、2020年7月、岐阜県立森林文化アカデミー内に誕生した森林総合教育センター「morinos(モリノス)」。 「実験場」「つくり続ける、変わり続ける」をモットーに、これからの環境教育や持続可能な社会づくりを、ゆっくりじっくり実践しながら提案していきます。 そんなmorinosの活動から、どんなことが生まれたか、どんなことが生まれそうかについてご紹介します。

進行:川嶋直(日本環境教育フォーラム理事長)

講師紹介

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小菅江美(こすげ えみ)

新潟県上越市在住。NPO法人 緑とくらしの学校として運営する「認定こども園 森のこども園てくてく」園長・理事長。NPO法人 全国森のようちえんネットワーク連盟 元理事。 海外の森のようちえんのつながりから執筆活動や講演活動なども行ってきた。森づくり・地域づくりをテーマに地域に根差した森のようちえんを展開中。

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萩原ナバ裕作(はぎわら なば ゆうさく)

岐阜県立森林文化アカデミー准教授。学生時代、国内のインタープリターの先駆者である小林毅氏に拾われインタープリターの道へ。その後、オーストラリアに渡りエコツアーガイド、野生動物番組制作を経てタスマニア島で家族とのんびり永住していたら急遽、小林毅氏に誘われ2007年現職に就く。 野外自主保育「森のだんごむし」や「みのプレーパーク」「morinos(モリノス)」の言い出しっぺ。共著に「インタープリタートレーニング」(ナカニシヤ出版)。近い将来、海と森の近くで馬を飼い、みんなが集まる場所を作って、畑を耕しながら子どもたちと遊び、サーフィンするような平和で自由で持続可能な日々を過ごすのが夢。根っからの妄想族。2019年JOLA(ジャパン・アウトドア・リーダーズ・アワード)大賞。

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