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バングラデシュ・ジョショール県の零細ヤシ砂糖生産者と花卉農家の6次産業化を通じた生計向上プロジェクト

バングラデシュ・ジョショール県の零細ヤシ砂糖生産者と花卉農家の6次産業化を通じた生計向上プロジェクト

1.事業の背景

ジョショール県はクルナ管区を訪れる際の空路の玄関口で、人口は約280万人、主要産業は農業で、ヤシ類の幹等から樹液を採取するヤシ砂糖(Palm sugar)の生産やバラ(Rose)、ガーベラ(Gerbera)、グラジオラス(Gladiolus)、チューベローズ(Tuberose)、マリーゴールド(Marigold)、ユリ(Lilium)等の花卉栽培が盛んである。ヤシ砂糖生産者と花卉生産農家の抱える大きな課題は、経済的な貧困の問題である。特に、商品の品質改善やマーケティング戦略に課題を抱えていることから、生産、商品開発・流通、販売に至る一連の流れを6次産業化の視点で取り組むことが貧困削減のために必要である。

ヤシ砂糖生産者の抱える課題

  1. ヤシ砂糖は小規模な生産形態が多いため、十分な現金収入が得られない(組織化された組合等は少ない)。
  2. 仲介業者の介入により、ヤシ砂糖を公正・公平な価格で取引させてもらえない。
  3. ヤシ砂糖商品の品質が良くない。
  4. ヤシ砂糖の多様な商品開発やマーケティング戦略(ブランド力)が欠如している。
  5. ヤシ砂糖生産の後継者が不足している。
  6. ヤシ砂糖の樹木が燃料用として伐採され、減少している。

花卉生産農家の抱える課題

  1. 農薬や化学肥料の多用による自然環境や健康への影響が懸念されている。
  2. 病害虫に対する防除技術の欠如による花卉の品質の低下を招いている。
  3. 花卉の保存、加工、包装や輸送のシステムが欠如している。
  4. 仲介業者に安価な価格で買取られ、公正・公平な取引がさせてもらえない。
  5. 付加価値のある花卉商品の開発やマーケティング戦略が欠如している。

2. 事業の目的

本プロジェクトでは、バングラデシュ国のクルナ管区(Khulna Division)、ジョショール県(Jashore District)周辺のヤシ砂糖生産者と花卉農家(135世帯)を対象とし、農業部門の6次産業化による付加価値のある商品・加工技術の開発、マーケティングの開拓やアグロツーリズム等の基盤整備および促進を図り、零細農村生産者の生計向上を図ることを目的として実施する。

3. 活動内容と期待される成果

第1年次の活動(2023年4月~2024年4月)では、農業の6次産業化へ向けた基盤整備、組織化、能力開発、商品(案)、加工技術の開発とローカル市場での販売、アグロツーリズムの施設整備・実施等を通じて、対象とする零細農村生産者が6次産業を進めるためのプラッフォームの構築を図る。

■活動内容

① 農村生産者協同組合の組織形成

組合運営のための研修会・運営会議の開催、過去外務省N連事業先へ協同組合の運営方法等を学ぶスタディツアー等

② 適切な農作物の生産技術の習得や商品開発・サービスを行うための技能向上

生産性向上や商品開発研修会・マニュアル作成、機材購入等

③有機農園の創出を通じた小学生への環境教育の普及啓発

教材開発、研修会開催、有機野菜栽培、料理を通じた交流会の開催等

 

■期待される効果

農業・農村振興や観光の促進による生計向上を通じて貧困削減を目的としたプロジェクトであることから、各グループの現金収入の向上により対象受益者の経済的貧困の緩和を図ることが期待される。

ヤシ砂糖生産者グループ、手工芸品グループ、花卉生産者グループ、アグロツーリズムグループの各グループの現金収入は、事業開始前よりもそれぞれ5%増加する。

4. プロジェクト概要

プロジェクト期間2023年4月~2024年4月
対象地域バングラデシュ

クルナ管区(Khulna Division)

ジョショール県(Jashore District)

  • ジョショールサダール郡(Jashore Sadar Sub-district), レブチュラ行政村とイチャリ行政村(Lebutala and Ichhali Union)
  • バヘパラ郡(Bagherpara Sub-district), バンドビラ行政村とライプール行政村(Bandobila and Raipur Union)
  • ジカルガチャ郡(Jhikargacha Sub-district), ガッドッカリ行政村(Godkhali Union)
対象者
  • 農村生産者協同組合(135世帯: ヤシ砂糖生産者グループ<50世帯>, 花卉生産者グループ<50世帯>, 手工芸品グループ<30世帯>, アグロツーリズムグループ<5世帯>)
  • 小・中学校10校(150人)
SDGs
協力団体環境林業・気候変動省、農業省ジョショール県農業局、経済産業省品質管理検査機関(BSTI)、地方自治農村開発協同省協同組合局、観光省観光局、 行政村代表者、食品加工会社、旅行会社、クルナ大学、公立小学校、BEDS等
資金源外務省日本NGO連携無償資金協力

文責: 日本環境教育フォーラム客員上席研究員/江戸川大学社会学部専任講師

佐藤 秀樹

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公益社団法人日本環境教育フォーラム
電話  : 03-5834-2897(平日 11:00~16:00)
E-mail: info-e★jeef.or.jp(★を@に変換)
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