機関誌「地球のこども」 Child of the earth

考えるっておもしろいかも!?パート2:第4回 学びの環境を考える 1(教室編) 2016.06.04

「じゃあこの問題を考えてみよう!」日本の教室で先生がこう言ったときの「考える」には、「(自分の机に座って、ノートと鉛筆を使って)考える」という暗黙のルールがあるように感じたことはないでしょうか。全員が同じ方向を向いてカリカリと机に向かう光景(これを僕の指導教授は日本の「国技」と揶揄していました)。

ここには学びに関わる2つの「環境」が関わっています。1つは教室という物理的な環境、もう1つは行動を制限する心理的な環境です。今回は前者、次回は後者にそれぞれスポットを当ててみます。

「教室(classroom)というのは、子どもたちが学ぶために集まる(class)ための部屋であって、先生が教えるための部屋ではない」とは、岡山理科大学の森敏昭先生の言葉です。これを聞いたときはハッとさせられました。教室は元々、学習者主体なのです。

少し話は逸れますが、みなさんは日本の教室に入った瞬間に「ここは絶対おもしろいことが起こる!」とわくわくした気持ちになるでしょうか? 同型の机、同系統の配色、窓もロッカーも四角形という、画一的なデザインで占められ、刺激を一切排除したような異質な空間。レジャー施設や自分の部屋など、わくわくしたり、ホッとしたりする空間と教室を比べてみると、いかに感情が動きにくい空間かがわかりますよね。感情が動かないとクリエイティブな思考が生まれないという話は以前しました。感情も思考も動きにくいなんて、これは一体誰のための設計なのでしょう?

GEMSの講座では、壁にポスターを張ったり、机の配置を毎回ちょっとずつ変えたり、時には地べたに座って考えられるようにラグを敷いたりと、子どもたちがそれぞれ学びやすいように環境をデザインしています。次々と子どもたち自身がアイディアを出しながら主体的に学んでいくアクティブ・ラーニングを環境面でサポートするためには、「教室」を見直すことも大切です。

kamogawa

鴨川 光(かもがわ ひかる)

1987年茨城県生まれ。ジャパンGEMSセンター研究員。 早稲田大学大学院教育学研究科修了後、2013年6月より現職。子どもの思考力や社会性の発達について研究している。ワークショップやボランティアを通して子どもたちと一緒に成長中。

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