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市民のための環境公開講座パート2「自然の魅力と脅威」第1回レポート 2016.09.08

パート2第1回『富士山噴火と西日本大震災に備える 「大地変動の時代」を生きのびる』

講師:鎌田浩毅

 

こんにちは。インターン生の島津です。 

「市民のための環境公開講座パート2」第2回が9月6日(火)に開催されました。

今回は地球科学者で京都大学教授の鎌田浩毅先生をお招きし、『富士山噴火と西日本大震災に備える 「大地変動の時代」を生きのびる』というタイトルでご講演いただきました。

 

紅白ストライプのジャケットで登場した先生はのっけから会場の心を掴み、気がつけばあっという間に2時間の講演時間が過ぎていました。鎌田先生曰く講演が強面になるか、にこやかな進行になるかは初めが肝心、ということでしたが、まさにそれを実感した瞬間でした。

 

【西日本大震災をご存知ですか】

 

「西日本大震災」という言葉をご存知でしょうか。では、南海トラフ地震という言葉はご存知でしょうか。おそらく後者であれば多数の方がメディアを通じ見聞きしているかと思います。 

実は西日本大震災という言葉は鎌田先生が作られた言葉です。個人的な感覚ですが、南海トラフ地震と聞くよりも大規模な地震であることを連想させます。そして先生の狙いもその点にありました。

 

政府の試算によれば、犠牲者数・経済損失は東日本大震災の10倍以上にも上ると言われています。これだけの規模でありながら、南海トラフ地震と言われてもなんとなくピンとこない。そこで西日本大震災と名付け、これは十分な備えを呼びかける上で効果的になるだろう、という背景がありました。

さらに興味深かったのは、十分な備蓄をする、避難経路を確認する、こうした基本的な事柄により8割程度被害を軽減できると先生は仰っていました。最先端の研究を最大限活かす決め手は、私たち一人一人の小さな行動にあると強く感じました。

 

【過去は未来を解くカギ】

 

先生が講演中しきりに仰っていた言葉です。さらにフランシス・ベーコンの「知識は力なり」という言葉も引いて、過去の知見に対する先生の敬意を非常に感じました。特に私たち学生は、もっとこの言葉を噛みしめないといけないなと思います。

 

【20年後君は何ができるか】

 

2030年~40年に西日本大震災が発生する可能性が高いと予測されています。つまりいまから約20年後です。地震が起きた時に、いま大学生である君たちがどうするかを考えてほしい、40代で日本社会が大打撃を受けた時にどう振る舞うかを考えてほしい、と先生はメッセージを残されました。

 

先生の言葉を借りれば、知識をどう活かすかを考えるようになれば、それは自然と学びのエネルギーとなり、自分なりの色が出てきます。自分には何ができて何で貢献できるのか、何ができずにそこに対しどう助けを借りるか、災害のためだけでなく人生そのものに繋がっている話のように思います。

今大学で自分が学んでいる事は直接的に地震や災害対策には繋がりませんが、その中でもどう関連付けることができるか、早速考えてみたいと思います。

 

【~質疑応答を紹介します~】

 

普段とは異なり、紙に質問を書いていただき、それを回収し先生が次々と答えていくという進行で行われました。印象に残った一部を抜粋して紹介します。

質:質問者 鎌:鎌田先生

 

質:(平安時代に起きた地震が)9年ごとに発生するパターンを見つけたのは偶然ですか。

鎌:地震考古学を専門にする方々は古文書などから割り出しています。膨大な知識の集積の上に成り立った発見です。例えば新井白石の『折りたく柴の記』には富士山の噴火後を示唆する内容が記されています。

12月にパラパラと白い何かが降ってきた。その後それが黒いものに変わったと記述があります。通常噴火の際には白い軽いマグマが放出され、その後鉄などを含んだ重いマグマが放出されます。従ってこの記録は正しいとみてとれるでしょう。新井白石、火山学の単位合格です。

感想 私も毎日日記をつけていますが、些細な変化でも書き留めておこうと思います。

 

質:高知に知人がいますが、南海地震が起きれば助からないのでしょうか。

鎌:そんなことはない。高知は防災の設備が充実している。ポイントは自分でそこを歩いて確認してみることです。それが広く浸透することで、被害は大きく軽減できるでしょう。

感想 避難経路や施設など用意されたものに頼るだけでなく、自分でそれをどう活用するかを普段から考えておく必要性をひしひしと感じました。

 

【おわりに】

 

地震や大陸の話題になると、数万年~数百万年の単位が珍しくありません。日常からは遠すぎて何が何だか分からなくなる時もあるかと思います。

先生からのアドバイスは、年を円に換えてみましょう、ということでした。確かに年よりは感覚的に掴みやすくなりました。

仕事や勉強で忙しい毎日でも、数万年単位の長い目で見る話をたまに思い出すと、先生の言う通り心が幾ばくか広がった気がすることでしょう。

 

パート2第2回『森は海の恋人 人の心に木を植える』は来週13日(火)18:30から新宿会場で開催されます。次回も是非ご来場ください。

 

CSOインターン生

島津

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