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| 授業を見学させていただいた後、放課後のお時間をいただいて、奥山先生をはじめ、3年生の担任の先生方にインタビューをさせていただきました。
神奈川県座間市立立野台小学校 |
GEMSを総合的な学習の時間(以下総合学習)でとりあげているねらいはなんですか?
まず、科学的なものの見方というのを総合学習の根底に置きたいという思いがありました。科学的なものの見方、考え方を育て、物事の真実に行き着けるような学びの力をつくっていきたいと思ったのです。それから、総合学習をやっていて、体験あって学びなしという批判がよく聞かれます。そういう中で、総合学習でこれだけの力がつくということを示すということが大事だと考えました。周りの保護者や地域の方への説明責任を、出来うる限り果たしていきたいと思いました。そのような中で適当なプログラムを探していて、GEMSに出会いました。様々な子どもの技能を発揮させ、深い概念に導き、それを形として残すことができ、全員で進歩していく、そういうプログラムがGEMSの一つの特徴かな、と思って取り入れています。
今回テラリウムは20時間もかけて取り組まれているそうですが・・・
1時間観察したら、もう1時間プラスして、ポートフォリオに書く時間をとっているので、テキストの倍以上の時間をかけてやっています。今日のような授業もテキストには無い部分ですが、あのように「知のネットワーク」を子どもたちにつくらせると非常におもしろいものが出来てきます。
テラリウムを授業に取り入れて、子どもたちに変化は見られますか?
子どもたちは生きている虫にはもともと興味があったのですが、以前は、虫が死んでしまったら、自分の目の届かないところに持っていこうとしていました。今では、死んだ後の死骸が土に戻っていくというのが自然の中ではごく当たり前のことだと理解して、死んだあともテラリウムの中に入れてそのままにしておくようになりました。
最初は自分にとって見た目できれいなもの、例えばお花などをテラリウムに入れていたのですが、だんだん生き物にとって必要なものを考えるようになって、落ち葉などを入れるようになってきました。
「生きること」、「死ぬこと」、とりわけ「死ぬこと」にに対して今までは情緒的な見方しかしていなかったのが、科学的なものの見方をする中で考え方が少しずつ変わってきているように感じます。死んでからも仕事がある。死ぬことさえも無駄ではない。生きている間も土を食べてうんこをして、分解という仕事をしている。生きることと死ぬことがみんな他者とつながっているということがだんだん分かり始めてきたようです。このように、目に見える変化を見続けながら、いままで目に見えていなかったものが見えるようになったらいいな、と思っています。だんだんそういう方向に向かっています。また、知ることによって、愛情も湧き、今までさわれなかったものにさわれるようになる。物事を知ることによって偏見を乗り越えるような、そういう変化があるのかな、と思いますね。
何回かに1回は学年全体で授業を行い情報交換を行っているということですが、どのようなねらいがあるのでしょうか?
結局、いままでの学校の典型的な学力観というは、一人一人に基礎があって、それを応用する力があって、創造的力をつけるというものだったのです。そういうパラダイムの中で示せている学力というのがどれほどあるか、というのを最近よく考えるのです。もちろん基礎基本は大切で、私たちも力を入れているのですが、そういう学力観だけではなくて・・・例えば、Aくんがミミズについてこういうことが分かった、BさんやCくんもそれぞれこういうことが分かった。お互いに分かったことを出して学び合うことで、「ミミズ学」のようなものがつくり上げられてくる。一人はミミズの性について語り、一人はミミズの死について語り、一人はミミズの死骸が腐るということについて語り、一人はミミズの排泄物について語り・・・それぞれが見たこと、経験したこと、調べたことを持ち寄って、ひとつのテーブルに並べた時に、一つ一つがつなっがって、「知のネットワーク」ができて、「ミミズ学」が出来上がっていく。そういうことが子どもたちにとって大きな力になると思うのです。私たちは「協働的学び」と呼んでいますが、個が独自に真理をつくっていくのではなくて、絶えず交流しながら、お互いのネットワークの中で、学びをつくっていくということが大切だと思います。まさしくGEMSの学びの一つの核にはそれがあると思います。
テラリウムの場合でも、理科ではなくて総合学習の時間のほうが取り入れやすいのでしょうか。
そうですね。理科というひとつの枠組みの中では、現学校教育では取り入れるのは難しいでしょうね。重なり合うところはたくさんあるのですが、このように広がっていくことを考えると、理科の枠をだんだん越えていくので、総合のほうが取り入れやすいですね。時間も確保できますし。
テラリウムはどこに保管されているのですか?
教室や1階の涼しくて日のあたらないところに。前に一度失敗してしまったことがあって。教室に置いておいたら、水も少なくて、ミミズが全滅状態に。時期にもよるのでしょうが、この時期にやるのであれば、涼しいところ、日陰に置く必要がありますね。
とりあえず1学期でGEMSのプログラムは終了と伺っていますが、各自のテラリウムはどのようにされるのですか?
ミミズコンポストというのを見つけた子がいたんです。ミミズのすんでいた土は非常にいい土だというわけですね。それで、その子が「先生、ミミズにいっぱいうんちをさせて、美味しいものを作ろうよ。」と言うんです。そういう手もありますよね。テラリウムの土をプランターに集めて、何か美味しいものを育てる。イチゴなどでもいいですね。他の土に比べて美味しいものができるかもしれない。そういうところまでつなげるとまさしく総合のつながりができるかな、と思います。あるいは校庭のエコロジーとリンクさせて、あの土を校庭の一角にみんな開けて、そこを観察させるというのも面白いかな、と思っています。
今後の総合学習はGEMSのプログラムに続いてどのように展開されるのでしょうか?
事実を見つめると、目には見えていないものが見えてくるということで、2学期はいろいろな社会の現象の中から、目に見えない真実、例えば、人権とかバリアフリーなどをテーマに見ていこうと思っています。
これまでGEMSに取り組まれて、これは大変だ、ということはありますか?
前年度、前々年度は5年生、6年生でウーブレックと環境探偵をやってみました。環境探偵は6年生で大変盛り上がったのですが、8割方でうち切りました。というのは、材料を揃えるのが大変困難だったので。学習としては非常にいいものだと思いますが、教材準備に時間がかかるというハードルを乗り越えていくのは課題だと思います。必要なものをセットにして販売してくれるところがあればいいと思います。
−一方、テラリウムハビタッツはそれほど準備に手間取ることはありませんでした。ただし、ミミズを学年全員分、100匹以上もそこらへんから集めるというわけにもいかず苦労しましたけど。結局、釣具屋さんで買ったんですけど、あれは箱詰めで冷蔵庫で保管されているんですよね。買ってきてから2、3日後に使ったクラスでは、ミミズが弱ってしまって・・・。やはり自然のミミズに比べて生命力が乏しいような気はしましたね。
最後にGEMSのプログラムを学校でやる意義というのは?
イベント的に行う場合だと、とれる時間は1時間くらい。それでは、科学の体験を子どもにつかませて、子どもの「育ち」を期待するのはなかなか難しいですよね。やっぱり、きちんとした学びの体系の中で1から10までやってこそ、成果があると思います。ぜひともこのような形でやりたいと思って、今回実施できてよかったです。
−私も、ぜひ他の学校でも取り組んでいただければ、と思っています。今日は本当にありがとうございました。